episode23 ページ22
二人で家の近くのコンビニに入って好きなアイスを漁る。
「なに食べたいか当てようか」
「うん、当ててみて」
Aがそう言いながらアイスの入ったケースをガサゴソ漁りながら考えている。
「これ！」
自分が好きなアイスを手に取って自慢げに見せてくる。
「お前が食べたいだけだろ、それ」
「うん、そう！じゃぁ、これ半分こしようね」
嬉しそうにレジに持って行くけど俺は知ってるからな、Aが財布を持ってきてないこと。
すこーし離れた場所からレジに向かうAを見ていればハッとした顔をしてこちらを見てきた。
「ウォヌ....買ってください....」
店員さんの目の前で恥ずかしいのかモジモジしながらそう言ってくる彼女はお菓子を買ってもらうのに必死になる子供みたいだ。
「しょうがないなー」
初めから買うつもりでいたけどやっぱりから買うのが面白くて可愛くて。
無事にアイスを買って家までの道のり、漫画のようにほっぺたを膨らませながら「ウォヌのいじわる」とずっと言っている。
「財布忘れてきたのは自分でしょ」
「そうだけど...」
「アイス食べたいもの買えたんだからいいじゃん、ね？」
「ありがとう...」
なんだか不服という言葉がピッタリな、そのなんとも言えない感じがまた子供みたいだ。
家について買ってきたアイスを半分こしながらただただなんとなくつけているテレビを見ている。
「ねぇ、さっきの月の話ってホントに何だったの？」
「まだ聞いてくるの？教えないって言ってるじゃん。しつこいなぁー」
「わかる人がいるの？」
「まぁ、言葉に長けてる人ならな」
「えー、じゃぁ、いいもん、調べてやる」
それが分かってしまったら今度は自分が恥ずかしいからと思って逃げるかのようにアイスをさっさと食べて歯を磨いてベッドに逃げ込んだ。
「え、先に寝ちゃうの？ちょっと待ってよ」
慌てて同じようにアイスを食べ終わった彼女が歯を磨いてベッドに入ってくる。
だけど寝たフリをしてお構いなし。
「ホントに寝ちゃったの？」
その一言を最後にしばらく静かだと思えば、今度はいきなり後ろからギュッとくっついてきて「そんな遠回しでも嬉しい。私も大好きだよ」と聞こえてきた。
寝たふりしてて良かった。
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作者名：miwol
| 作成日時：2020年4月28日 0時
