episode22 ページ21
空を見上げればさっきよりも少し遠くに感じる満月が俺たち二人だけを照らしているようだ。
「今日はやけに明るいな」
「うん、月が綺麗」
その言葉に口角が上がってしまう。
まぁ、Aはそんな事を思って言ったんじゃなくて見たまま思ったままに言ったんだろうけど。
「それって俺に向かって言ってるの？」
案の定、ぽかんとした表情で俺のことを見ている。
「それってどういう意味？」
これは本の一つや二つでも読ませないとダメかななんて思いながらそっと頭に手を伸ばしてポンポンしてみたけど！恥ずかしくなってまたすぐにポケットに手を戻す。
「なーんだ、ただただ月が綺麗だって言ったのか」
「え、だからどういう意味！？」
うまく噛み合ってないであろう、ちんぷんかんぷんな会話になっていることにおかしくなって笑ってしまう。
何回もどういう意味か問い詰められながら俺の腕に腕をからめてくるから「暑い」と言いながらも手を繋ぎ返す。
ミンギュに借りを作ってまでもらったこの大事な時間はホントに幸せな時間だった。
「アイスでも買って帰るか」
「えっ！食べたい！うん、買って帰ろう！」
「デブになっても知らないぞー」
「ひどーい！最初に言ったのはウォヌだもん。いじわるだなぁー、ホントに」
「じゃぁ、アイス食べても大丈夫か確かめないとな」
そう言いながらAの脇腹をプニっと指でつまんでみる。
まぁ、掴むほどのお肉はついてないんだけど。
「あー、これはアイス食べたらダメだな」
「うるさい！食べてやるんだから！」
たまにこうやってムキになることあるけど自分が可愛いって分かっててやってるのかと思ってしまうほど可愛い表情するんだよなぁ。
その顔が見たくてたまにからかうんだけどさ。
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作者名：miwol
| 作成日時：2020年4月28日 0時
