嫌いを好きにする魔法。 (ページ1)

今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:52,340 hit

1 ページ1

いくらなんでも緊張する。

男子校に入る日が来るなんて思ってもなかった。
しかも超がつくほどの名門校。

ちゃんと勉強してデイヴィスみたいになるの。

クルーウェル「式典服くらいしっかり着てくれ。」

『だって初めてなんだもん。』

クルーウェル「仕方が無い。メイクもだ。」

目を閉じろと言われ素直に閉じるとくすぐったい感覚を覚える。
目元に黒いラインがかかれていた。

『ありがとう！』

クルーウェル「くれぐれも俺との関係はバラすなよ。」

『分かってるって！』

クルーウェル「俺の事はクルーウェル先生だ。分かったな？」

『えぇ、もちろん！』

クルーウェル「よし、良い子だ。行ってこい。」

『また後でね！』

いつものようにおでこにキスをされ頭を撫でられる。
それに微笑みで答え、手を振ってドアを開けた。

お父様を小さい頃に亡くし、ある事故でお母様もしんじゃって、引き取ってくれたのがデイヴィス。
お母様の兄妹。

引き取ってくれたと言っても先生だから寮生活だったから、家を借りていた...みたいな。

幸い家事や生きてく上で必要な事は分かる年齢だった。

それが２年前で私もついにナイトレイブンカレッジに入学できた。
先生の身内ってことで特別らしい。

『わぁ...凄い...』

横を見ると自分よりもはるかに大きい人だったり耳が生えていたりハートマークがかいてあったり。

色んな人がいるんだなぁ。

「おい、女か？」
「まさか...」
「あいつも女っぽいじゃねぇか。」

ざわざわと声が聞こえる。
そりゃあ、目立っちゃうよね。

嫌われる覚悟でここに来ると決めた。
だから絶対に逃げはしない。

クルーウェル「早く並べ。これだから仔犬は。」

後ろからそんな声が聞こえて思わず振り返る。
目があってニコッと微笑むとウィンクで返してくれた。

ほんと、優しいんだよな。

学校内ではどうだか知らないけど。
いつだかクロウリーと家に帰って来た時は怖いとか言ってたけど。

まさかデイヴィスがそんなわけないよね。笑
きっと優しい先生なはず。

これからの学園生活が大変になる事を知らずに。
友情を知り、恋を知り、裏切りも知る。

ただただ楽しむだけじゃ立派な大人になれない。

4年間でどれだけ成長するか見せつけるの。

「A･ハウフル！」

『はい。』

名前を呼ばれ鏡の元へコツコツと足をならす。

さぁ、最高の悪役になってみせるわよ。