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「ヌナって呼んじゃ…ダメだった?」


腕の中で小さく首を振る。
本当は、嬉しかったよ。

彼の胸にしがみ付いてるから私の反応を見て、ほっとしたように息を吐く動きまで伝わってくる。


「連絡をくれないのは、どうして?」


避けて欲しかったその問い掛けに、どう答えていいのか分からなくて。
目を戸惑わせる事しか出来ないでいると、彼が口を開く。


「いや、やっぱり答えなくていい。困らせたい訳じゃないから」


こんな時でも。
私の気持ちを優先してくれている。

私があなたの手紙を無視し続けて、その事に触れてこない優しさに甘えていたから。
あなたに、そんな苦しそうな声を出させてしまったのかな。


期待しちゃダメだって思ってるのに、ソクジンさんの言葉や私を包む力の強さに。
期待…してしまう。


「知りたいんだ。ヌナの事もっとたくさん。
何が好きで。どんな事に嬉しいと感じるのか、とか。
出来れば僕がそう思わせたいって思うんだけど、知らなさ過ぎて悔しいな、って」


どうしてそんな風に…。


真っ直ぐな言葉に思わず顔を上げかけた。
だけどやっぱり怖くてそれを止めて、また伏せる。


「俯いちゃうのは癖?」

『…恥ずかしくて』


それも本心。
伝えてる事が嘘ばかりの私は、純粋な目を真っ直ぐ見られないんだ。


くすっと笑って、


「それも可愛いよね」


それ()
他にもそう思ってくれた事があるのかな。


「まだ会って間もないのにこんな事言うなんて変だって思うよね。
普段は慎重に行動するのに…。
この状態がそうさせてるんだと思うけど」


その話し振りは丁寧で、真剣に伝えてくれようとしている。
彼の鼓動も変わる事なく早いから。
だから自然と私も熱を持ってしまう。

欲しい言葉を……望んでしまう。


「また倒れる事にならないようにって、
心配してお弁当を持ってきてくれるヌナの優しさにつけ込むようだけど僕は…」



“ガシャン”



けたたましい音が廊下に響き渡る。

ソクジンさんという熱に浮かされたようだった思考は、
大きな音で一気に現実に引き戻された。
同じくその音に気をとられて、僅かに緩まった腕。


音の方へ顔を向けると“うわっ”って声を上げて、階段の踊り場に散乱した機械の破片を見て驚いている人物がいた。


気配を感じてこちらを向いたその人は、ソクジンさんと同じグループのメンバーだ。


「あれ、ヒョン?」


その声に私は慌てて彼の胸から離れ、その場から逃げる様に階段を駆け下りた。

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lia(プロフ) - nasahiさん» 楽しみなんて言って貰えて嬉しすぎて私がきゅんきゅんしております✨あたたかいコメントありがとうございます (3月19日 19時) (レス) id: 2f80daa520 (このIDを非表示/違反報告)
nasahi(プロフ) - いつも楽しみにしてます✨ソクジン推しなのでソクジンメインのお話が見れて嬉しいです(*^^*)きゅんきゅんさせていただきありがとうございます (3月19日 15時) (レス) @page43 id: 30d7aaf159 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:lia | 作成日時:2024年1月23日 5時

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