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──── 彼がいる。
この時間は、いない筈なのに……。
彼の顔を見たら、避けていたのに失敗したとか恥ずかしいとか。
…嬉しいとか。
押し込めてた気持ちが溢れ出しそうになって。
全身の熱が一気にあがるのが分かる。
床から立ち上がるよりも、こちらの方が動きが早い。
ドアを開け放ち『失礼しますっ』だけ発して、部屋の奥まで駆けてランチバッグを手に取り新しいものとすり替える。
「あっ！ちょっとッ…」
慌てる声を無視して脇目も振らず、一目散に部屋から飛び出す。
廊下を駆け抜けながら、私の頭の中は“どうしよう”でいっぱいだった。
階段に差し掛かった所で、スピードを緩ませず駆け降りようとしたら、久々の全速力に足が縺れた。
階段を踏み損なった足と。
ゆっくりと落ちていくような感覚の中、
“ああ…もうダメだ”
とだけ冷静に思っていた。
強い力で手首を掴まれ後ろに引かれると、
転倒すると予想していたような痛みはなくて。
何が起きたのか分からないうちに、ソクジンさんの胸に抱き止められていた。
落ちて…な、い。
だんだんと思考が追いついてきて、彼も走って追いかけて来て危ない所を救ってくれたんだと、そこで理解出来た。
あのまま落ちていたら…、そう考えると今になって震えが走り、彼の広い胸に“ぎゅっ”と、しがみ付いた。
すると、
私を包むその腕の力も増して、強く抱き締めた。
お互いの息が荒く吐き出されて。
息が整うまでの時間。
静かな空間に、私と彼の心臓の音だけが鳴り響いてるように感じる。
煩いくらいに。
Tシャツの柔軟剤の香りに混じって、彼自身のものと思われる匂いに、“ソクジンさんに抱き締められてる”って現実を理解してきて…。
とてもじゃないけど顔が見れなくて、胸におでこを付けたまま、時を待つ。
先に呼吸が落ち着いたソクジンさんが、ゆっくり口を開く。
「逃げるから思わず追いかけたけど。そうして良かった。
間に合わないって、
……心臓が止まるかと思った。
あんな勢いのまま降りたら危ないよ」
危険な事をした私なんかに優しい口調で話すから、怖かった事とかいろんな感情が入り混じって目が潤んでくる。
『…ごめんなさい』
辛うじてそれだけ言う事が出来た。
「お願いだから、逃げないで」
切望するような掠れた声が、私の胸を強く締め付けた。
24.3.20
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lia(プロフ) - nasahiさん» 楽しみなんて言って貰えて嬉しすぎて私がきゅんきゅんしております✨あたたかいコメントありがとうございます (3月19日 19時) (
レス) id: 2f80daa520 (このIDを非表示/違反報告)
nasahi(プロフ) - いつも楽しみにしてます✨ソクジン推しなのでソクジンメインのお話が見れて嬉しいです(*^^*)きゅんきゅんさせていただきありがとうございます (3月19日 15時) (レス) @page43 id: 30d7aaf159 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：lia | 作成日時：2024年1月23日 5時
