勝敗の決定は私に ページ8
Aside
「最後にここに、傷をつけられました。そして彼女は暗器遣いです。これがもし、実践なら……」
「致死性の毒が塗ってあるはずと、言いたいのか？」
「はい。私は訓練を受けているので、毒を受けても暫く動けるし、起き上がらない彼女に止めはさせるでしょうが」
「結局君も死ぬ？」
「そうです」
「そうか。わかった。だが、決定は覆らない。勝者は君だ」
「ですが」
「良いじゃないですか」
必死に訴えるも取り合ってもらえそうの無い十条さんに手助けをする。彼女は柊家の決めた法に逆らえない為にそれを逆手に取るだろうが、所詮は彼らも駒。
何より、ここでハッキリとさせてあげた方が、十条さんの精神上良さそうだ。
「A様！ ですが……」
「お言葉ですが、これは遊びでも何でも無いんですよ？ 実践の場合を考えて勝敗の采配を考えるのは当然です。試験だからという特別手当てはいけませんよ」
その言葉に何も言えなくなったのか、監督官は黙る。どうせ引き分けなら、一瀬のネズミより名家出身の十条さんを勝たせたかったのだろう。何ともくだらない。
続けて私は言う。
「それに、ここでハッキリと引き分けにしてあげた方が彼女の今後の訓練のやる気にも関わってます。彼女にはまだまだ伸び代があるんですから、ここで焚き上げた方が賢明ですよ？」
私の説得に対してようやく納得したのか、監督官は改めて勝敗を告げた。
「今回は引き分け！ 尚、次の試合には、動ける十条美十が特進するものとする！」
改めた勝敗に納得したのか、十条さんは漸く大人しく下がった。だが、悔しそうな顔は変わらない。
一瀬の者だからといって見下して、油断した結果、死に掛けたのが相当悔しかったのだろう。
声を上げる為に舞台に近づいた私は、深夜兄様の元に戻る前に十条さんの元へ行った。
「十条さん」
「A様！ あの、先程はありがとうございます！」
「いえいえ。此方も口を挟んでしまってすみません」
「それで、いかがでしたか？」
「え？」
「雪見時雨さん。帝ノ月出身とは言っても彼女、強かったでしょう？」
「……はい」
「何事も油断はいけませんよ。今回は試験だったものの、先程貴方も言った通り、これが実践だったら貴方は死んでました。例え、誰が相手でも油断はいけませんよ」
「……はい。ご忠告ありがとうございます」
「はい。お大事に」
反省した様子の十条さんを見た私は深夜兄様の方へ戻った。
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ラピスラズリ(プロフ) - 空白さん» 返信遅くなってごめんなさい!面白いだなんてありがとうございます!これからも、更新頑張ります。 (2022年2月10日 1時) (
レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - 凪さん» 返信遅くなってごめんなさい!大好きと言っていただけるなんて光栄です!ありがとうございます。 (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - さくら＆りな(б∀б)さん» 返信遅くなってごめんなさい!やっと、続編まで来れました。更新が遅くなる事もあるかと思いますが、どうぞ見守って下さると嬉しいです。これからも頑張ります！ (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
空白 - メチャクチャ面白いです (2022年1月29日 0時) (レス) @page5 id: e38918ab99 (このIDを非表示/違反報告)
凪 - やっぱりこの作品大好きです。これからも読み続けますね。 (2022年1月8日 18時) (レス) @page1 id: ae77e7925b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラピスラズリ | 作成日時：2022年1月7日 16時
