第六章 選抜術式試験 ページ4
Aside
選抜術式試験は、朝八時から始まった。
場所は校庭──とは名ばかりの、軍事訓練も出来る広大な演習場。そこに、全校生徒が集まっている。
選抜術式試験は、それこそ各学年の全校生徒同士の勝ち抜き戦になる為、一週間もの期間をかけて行われる事になっている。
ちなみにクラスメイト同士は、数回勝ち上がらないとぶつからないようになっている為に、最初の内はちょっとだけクラス同士の対抗意識のようなものまで存在している。
もちろん、最終的には個人の能力評価だけが残る。
その為、形ばかりとはいえ監視官である私は、この試験で人一倍細かく見ていなければならなくなっている。
(こんなもの見なくたって、普段の態度で個人がどれくらいの力量かはわかるんですけどねぇ)
そんな気持ちを持ちながら、女教師を見る。
「うちが一番のエリートクラスだってことを、今日からの一週間で証明するから、そのつもりで！」
いくら名家が多いクラスだからとはいえ、真昼姉様が別のクラスな時点で誰もトップにはなれないという事を、わかっているのかよく分からない事を言っていた。
「……」
そしてその様子を、グレンさんは少し離れた所から見ていた。
昨日の一件で、深夜兄様も、五士さんも、十条さんも近づく事はなくなり、グレンさんは孤立してしまった。
もちろん、彼にとってはその方がやりやすいのだろうけれど。
私も、深夜兄様がグレンさんに近づくなと言ってしまった以上、近寄る事はできなくなった。……表立っては。
「グレンさん」
「っ‼︎」
「あ、安心してください。幻術で私は素直に話を聞いている風にしていますから。グレンさんもですけど」
そう告げると、グレンさんは疲れたように、けれど安心したように嘆息した。
「お前なぁ。昨日、深夜が言っていた事忘れたのか？」
「まさか。その程度の記憶力では生き残れませんよ」
「知ってるわ」
「そもそも、深夜兄様はグレンさんから近づかないように言っただけなので、私から近づく分にはノーカウントですよ」
「本気でそう思ってんなら幻術を展開しないだろ」
「はは。今、表立って貴方に近づいたら貴方が責められますからね」
感謝してくれてもいいんですよ、と言うと、グレンさんは「絶対に嫌だね」とそっぽを向いた。
「……昨日」
「あ？」
「昨日、あの後大丈夫でしたか？」
「……ああ」
少しだけ声を小さくしながら問うと、グレンさんは控えめに納得したような声を上げた。
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ラピスラズリ(プロフ) - 空白さん» 返信遅くなってごめんなさい!面白いだなんてありがとうございます!これからも、更新頑張ります。 (2022年2月10日 1時) (
レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - 凪さん» 返信遅くなってごめんなさい!大好きと言っていただけるなんて光栄です!ありがとうございます。 (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - さくら＆りな(б∀б)さん» 返信遅くなってごめんなさい!やっと、続編まで来れました。更新が遅くなる事もあるかと思いますが、どうぞ見守って下さると嬉しいです。これからも頑張ります！ (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
空白 - メチャクチャ面白いです (2022年1月29日 0時) (レス) @page5 id: e38918ab99 (このIDを非表示/違反報告)
凪 - やっぱりこの作品大好きです。これからも読み続けますね。 (2022年1月8日 18時) (レス) @page1 id: ae77e7925b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラピスラズリ | 作成日時：2022年1月7日 16時
