質問の回答 ページ28
グレンside
望み通り、痛みにうめき、話を中断したのを確認する。
「黙れ。余計な話をするな。俺の質問にだけ答えろ」
「……」
「何故、おまえらはここに来た？」
それに斉藤は、やっと素直に答える。
「欲しいものが、ありまして」
「欲しいもの？」
「ええ」
「それは一体、なんだ」
「研究資料です」
「研究資料？ それは……」
「いや、まあ、簡単に説明させていただくと、ここの生徒に、『柊』を裏切って《百夜教》に術式の秘密を売ってくれた方がいましてね……その方と共同で進めていた研究です」
その言葉に思わず笑みを浮かべる。
どうやら自分が思っていたよりも、柊には敵が多いようだった。そして柊の立場も、それ程盤石ではなさそうだった。
どれほど巨大な組織でも、それを潰そうとする他の組織がある。
気に食わないと思って、裏切る奴がいる。
それは俺か、もしくは──
「……もしかして、情報を売ったのはお前か？」
あり得るのは、自分が知るなかで一番可能性が高いと思うのは、すぐそばで斉藤の瞳を護符で封じていた深夜だった。
だが意外なことに、深夜は肩をすくめて言った。
「これがショックなことに、《百夜教》は僕にはまだ、一度も接触してきてないんだよね。なーんで来なかったのかな？」
それに斉藤が微笑みを浮かべて答える。
「もっと、有能な方が情報を売ってくれたので」
「うわ、何気に力がないって貶されたんだけど……でも、もっと有能、ねぇ。じゃあ、三年の人かな。柊暮人生徒会長とか？
もしくは……あんまり考えたくないけど、Aちゃんかな？」
だが、意外にもあっさりと斉藤は否定の言葉をこぼした。
「いいえ。もっと有能で、柊のことを強く、憎んでいる方ですよ」
しかしその言葉に、心当たりはなかった。当然だ。柊の事はあまり分かっていないのだ。
そして、柊の事を調査出来るほどの力や規模は、一瀬家にはない。
ある程度従属し、監視されながら一瀬家以下──つまり『帝ノ月』の人間達は、柊を主とする『帝ノ鬼』に生かしてもらっている、というのが今の、五百年間の状況だ。
だからその情報を得られるのは、柊と同等以上の力を持った、《百夜教》ぐらいのものだろう。もしくは、内部の人間か。
そこで一旦思考を切り、深夜の方を見る。すると深夜の表情は変わっていた。驚愕と言うべきか、困惑と言うべきか、それでも心当たりがあるのは確実だった。
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ラピスラズリ(プロフ) - 空白さん» 返信遅くなってごめんなさい!面白いだなんてありがとうございます!これからも、更新頑張ります。 (2022年2月10日 1時) (
レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - 凪さん» 返信遅くなってごめんなさい!大好きと言っていただけるなんて光栄です!ありがとうございます。 (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - さくら＆りな(б∀б)さん» 返信遅くなってごめんなさい!やっと、続編まで来れました。更新が遅くなる事もあるかと思いますが、どうぞ見守って下さると嬉しいです。これからも頑張ります！ (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
空白 - メチャクチャ面白いです (2022年1月29日 0時) (レス) @page5 id: e38918ab99 (このIDを非表示/違反報告)
凪 - やっぱりこの作品大好きです。これからも読み続けますね。 (2022年1月8日 18時) (レス) @page1 id: ae77e7925b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラピスラズリ | 作成日時：2022年1月7日 16時
