反旗の宣言 ページ25
グレンside
「だってさ。で、お前はどうすんの？」
「……」
「そもそも、もう勧誘は受け入れてたわけ？
どういう条件で受け入れた？ お前、実はもう《百夜教》の仲間なのか？」
その言葉に俺はチラリと見た後、バレないように手に持っている刀に力を込める。
「だ〜からお前はペラペラうるせぇんだって。受けたきゃ勝手に受けろよ。柊潰して、王様にでもなんでもなれ」
「へ？ じゃあ……」
拍子抜けした深夜の言葉を遮る。
「だが俺は、《百夜教》の下に着くなんて、ごめんだ。もう誰かの下で力がないのを言い訳するのには、飽きてんだよ。だから……」
そこで、俺は跳んだ。
瞬く間に刀を振り上げ、
「俺は、上にいる奴全員、切り殺してやる！」
斉藤に、刀を叩きつけた。
斬る、ではなく、相手の存在ごと消滅させようとするくらいの勢いで、刀を振るった。
その姿を目に入れた斉藤は楽しげに見上げだ。
「もう、以前にそれは試したでしょう？ 私に物理攻撃は効きませんよ。そういう、改造を受けている」
そう言いながら再び鎖を放ち、さらに体は霧状に拡散しようとしている。
そう。
こいつにはどうやら、実体が無いのだ。
おそらくはこの、人間の姿は仮初めで、鎖を覆う黒い霧──というのが、こいつの体の構成のようだった。
だが、俺は気にせず刀を振り下ろす。
斉藤は鎖を上げて刀を防ごうとし、
「ああ、やっぱり鎖だけじゃ、止まらな……」
そこで刀が鎖を断ち切る。そのまま斉藤の肩口から入る。
だがまだ、斉藤は笑っている。余裕という名の、慢心だろう。
「ほら、だめだと言って……」
しかし、俺は止まらなかった。
制服の袖の部分に隠し持っていた呪符を刀身に滑らせる。
刹那、深紅の刀身が、やはり赤い、まるで血のような炎を生み、
「蠢け、孔雀丸」
爆発する。
斉藤の体の中で、刀の中に封じ込められていた呪いがぐちゃぐちゃに弾ける。
以前、こいつは体を霧状にして、物理攻撃からの衝撃を緩和してみせたが、今度はそうはいかなかった。
俺が持つ孔雀丸は、一瀬家の当主が代々遣う刀で、その刀身には今まで斬った者の憎悪が呪詛として封じ込められていると伝えられている。
そしてそれが、今、この手で呪符によって封印を解かれたのだ。
その証拠に、
「が、あ、なんだ、これは……体が言うことを……聞かな……」
驚いた表情で、斉藤がこちらを見てきた。
俺は《百夜教》の下にはつかないことを、改めて行動で示した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 129人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ラピスラズリ(プロフ) - 空白さん» 返信遅くなってごめんなさい!面白いだなんてありがとうございます!これからも、更新頑張ります。 (2022年2月10日 1時) (
レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - 凪さん» 返信遅くなってごめんなさい!大好きと言っていただけるなんて光栄です!ありがとうございます。 (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - さくら＆りな(б∀б)さん» 返信遅くなってごめんなさい!やっと、続編まで来れました。更新が遅くなる事もあるかと思いますが、どうぞ見守って下さると嬉しいです。これからも頑張ります！ (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
空白 - メチャクチャ面白いです (2022年1月29日 0時) (レス) @page5 id: e38918ab99 (このIDを非表示/違反報告)
凪 - やっぱりこの作品大好きです。これからも読み続けますね。 (2022年1月8日 18時) (レス) @page1 id: ae77e7925b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ラピスラズリ | 作成日時：2022年1月7日 16時
