惹かれる傲慢さ ページ23
深夜side
先程の僕と似たような驚いた顔で、グレンはこちらを見てくる。その顔もすぐに仕舞われたが。
“『一瀬グレン』は仲間も守れないクズ”
それが、例の廊下の事件からの印象だった。
最初は真昼の言葉に嫉妬して……何故か勝手に親近感を覚えて……要は期待していたのだ。
──僕の同類がいるんじゃないかって。
柊家に僕の居場所なんか無かった。
毎日置いてかれないように勉強する日々。真昼や暮人兄さんは率先して僕を虐げる人間では無かったから互いに無干渉だったが、征志朗はそうはいかなかった。
毎日、毎日、暇なのか。
僕に稽古を誘うと言う名の命令をし、僕をボコボコにした。
もちろん、やろうと思えばあんな奴敵じゃなかった。僕がボコボコに仕返す事など簡単だった。しかし、そんなことをすれば僕は殺されてしまう。
あの“落ちこぼれ”と言われているシノアちゃんでさえ、僕の演技に気がついていたのに、アイツは気が付かなかった。
でも、それで良かった。
毎日機嫌を伺い立てて、そして、いつかは必ず殺すと決めていた。
そんな中、Aちゃんはまた一等変わった女の子だった。
実力は真昼と同じ位の才能を持ち合わせ、ひょっとしたら彼女が時期当主候補に上がるかもしれない。そんな彼女は、よく僕を部屋に招いた。
彼女がこっそり作ったお菓子と、彼女が淹れてくれた紅茶を片手に談笑する。
その時間が、僕には安らぎの時間で、だからこそ、グレンに肩入れするAちゃんが理解出来なかった。納得いかなかった。
けれど──
『どっちでもいいですよ、実力なんて。私は一瀬グレンという人間を好いていますから』
ああ、そうだね。
確かにそうだ。
きっと彼女は、グレンの実力に気がついていたのだろう。
真昼には劣れど、今じゃ僕より強い子だ。
グレンの演技にも気がついていたのだろう。
でも、実力が云々じゃなくて、たとえ柊家であろうと、同じ野心を抱くのなら、自身の陣地に引き込む。ただし強くなければ見捨てる。手段の為ならば、仲間の引き込みに躊躇することはない。
そして、
そんな、彼の
わかるよ。今ならすごいわかる。
だって、僕も好きだもん。そういう人間。
君とまた、お茶をしながら話したい。
だから、目の前にいるコイツをさっさと倒そう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 129人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ラピスラズリ(プロフ) - 空白さん» 返信遅くなってごめんなさい!面白いだなんてありがとうございます!これからも、更新頑張ります。 (2022年2月10日 1時) (
レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - 凪さん» 返信遅くなってごめんなさい!大好きと言っていただけるなんて光栄です!ありがとうございます。 (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - さくら＆りな(б∀б)さん» 返信遅くなってごめんなさい!やっと、続編まで来れました。更新が遅くなる事もあるかと思いますが、どうぞ見守って下さると嬉しいです。これからも頑張ります！ (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
空白 - メチャクチャ面白いです (2022年1月29日 0時) (レス) @page5 id: e38918ab99 (このIDを非表示/違反報告)
凪 - やっぱりこの作品大好きです。これからも読み続けますね。 (2022年1月8日 18時) (レス) @page1 id: ae77e7925b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ラピスラズリ | 作成日時：2022年1月7日 16時
