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決裂の証 ページ3

グレンside

「……そうですね。確かに私は、百夜孤児院の出身ですが……しかし私は自ら実験台になる事を望んで、この体になりました」
「はっ、洗脳か」

しかし、俺の顔を見つめながら斉藤は続けた。

「いえ、《百夜教》はこの国が正しい道に進めるよう、真剣に考えています。まだ、グレン様はご存じないかもしれませんが、日本はこのままいけば、終末のラッパに巻き込まれて崩壊します」

その言葉に俺は笑って言い返した。
新手の宗教のよくあるやり口であり、また、帝ノ月(うち)でも使っているからだ。

だが、斉藤の表情は崩れなかった。

「これはそういう話ではありません」
「じゃあなんだよ」
「事実を……このままいけば、ウイルスが蔓延します。いくつかの触れてはいけない禁忌の呪法が暴走し、この世界は人が住めない場所になる」

さらに斉藤は続けて言う。
俺が言う事も何もかも的外れとでも言うように笑みを浮かべながら。

「これは戦争についての話です。ウイルスをまくのは、神でもなんでもなく、人間ですよ。それも、貴方のよく知っている人間達。柊という名の、人間」
「なっ、それは……」
「国家呪術組織の座を《百夜教》から奪おうと暴走した『帝ノ鬼』は、触れてはいけない、禁忌の呪法を扱おうとしている。だから我々はそれを、必死に防ごうとしている」
「……」
「ね? 私たち、利害が一致しているでしょう?」

その言葉を聞いて、一番最初に思い出したのはAだった。

──あいつは、この事を知っているのか?

その思いばかり胸に広がった。
そんな風には見えなかった。だが、相手は柊家だ。
根本には虚空を広げているような少女だ。
油断は禁物なのではないか。それとも当主が無断でやっているのか。

考えは纏まらず、話は過ぎていく。
斉藤の勧誘とAの事。
同時に考えを進めるが、最適解が見つからない。

だから、その中での最善を考える。
一瀬家の未来が潰れない方法を。『帝ノ月』に所属している者たちの未来が潰れない方法を。

「せめて、一時間猶予を……」
「ダメです」

その答えに俺は目を細めた。返答は決まった。

「なら、答えはノーだ。まともな会話も出来ない相手と組む事は出来ない。俺はお前らの下にはつかない」

交渉は決裂した。
その証に、その後出てきたミカエラという少年に、俺の事は知らないと申した。もう仲間ではないという事だ。

「さて、俺の判断は正しかったか、どうか」


___確かめなきゃいけないな

第六章 選抜術式試験→←少年と元刺客の会話



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ラピスラズリ(プロフ) - 空白さん» 返信遅くなってごめんなさい!面白いだなんてありがとうございます!これからも、更新頑張ります。 (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - 凪さん» 返信遅くなってごめんなさい!大好きと言っていただけるなんて光栄です!ありがとうございます。 (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - さくら&りな(б∀б)さん» 返信遅くなってごめんなさい!やっと、続編まで来れました。更新が遅くなる事もあるかと思いますが、どうぞ見守って下さると嬉しいです。これからも頑張ります! (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
空白 - メチャクチャ面白いです (2022年1月29日 0時) (レス) @page5 id: e38918ab99 (このIDを非表示/違反報告)
- やっぱりこの作品大好きです。これからも読み続けますね。 (2022年1月8日 18時) (レス) @page1 id: ae77e7925b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ラピスラズリ | 作成日時:2022年1月7日 16時

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