赤い光 ページ20
グレンside
周りから笑い声が、嘲笑が、罵倒が聞こえる。
ありとあらゆる嘲りの声が巻き起こる。
深夜に言われたことで辞退を宣言し、周りの人間の言葉も全て否定して今ここに立っている。“クズ”だと。そう、わざわざ言ってくるのだ。
「……」
申し訳なさはある。けれど、アイツを前にして冷静で居られる自信がなかった。俺はそこまで、出来た人間では無い。きっと喉笛を掻きに向かっていくことだろう。
それは許されないのだ。俺は、一瀬家の期待を背負ってここにいる。当然、アイツらも俺の為に生き、俺の為に死ねと言われている事だろう。だから俺は……その意思を無碍にしてはいけないのだ。
そう己を律し、周りの声を無視する。
ヘラヘラと笑ってみせ、クズの顔を作る。
いつも通りにいよう。なんのプライドもない、頑張ることも出来ない、実力のない、クズの顔。これから三年、演じ続けていくはずの、クズの顔で。
──だが、そこで突然、状況が変わってしまった。
「なっ……！」
一瞬、なにか強い違和感を感じて反応してしまう。しかし、それはすべきものだった。
空を見る。
明るくて綺麗な筈の青空には、赤い光が見えた。
その光はこちらに向かってくる。一直線に、こちらを攻撃しようとして、それを避けようとする。
だがそこで、俺の隣にいる女を見る。
十条美十と、五士典人が、光の対象になっていた。否、数十人の生徒は対象であろう。二人はこの攻撃に気が付いていない。
いや、このタイミングで気がつくことの方が苦難だろう。殺気も、気配も、何も無い。偶然空を見上げていたから気づけただけで、俺も前を向いていたら気がつかなかった事だろう。
そして、俺が助けなければ、二人は死ぬ。
その事実に気がついてしまい、手を伸ばす。
「くそっ」
殴るようにして美十の肩を押す。
突然押された事に、そして同じく押された美十に、二人は驚く。
「あなた！ 一体、なにをするん──」
そこで、彼女の言葉は止まった。
赤い光が、着弾した。
美十の目の前を通り過ぎ、その背後にいた生徒たちを襲った。幸いな事に、その爆発の規模は大きくなかった。おそらく、この攻撃は殺傷を目的にしたものでは無かったのだろう。
だが、それだけでかなりの人間が死んだ。
そして、十を超える光が校庭に降り注ぎ、着弾した頃には、生徒達の悲鳴が叫び上がっていた。
だが、泣いてる暇は無かった。
始まったのだ。戦争が。
《百夜教》と『柊家』の戦争が──
始まったのだ。
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ラピスラズリ(プロフ) - 空白さん» 返信遅くなってごめんなさい!面白いだなんてありがとうございます!これからも、更新頑張ります。 (2022年2月10日 1時) (
レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - 凪さん» 返信遅くなってごめんなさい!大好きと言っていただけるなんて光栄です!ありがとうございます。 (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - さくら＆りな(б∀б)さん» 返信遅くなってごめんなさい!やっと、続編まで来れました。更新が遅くなる事もあるかと思いますが、どうぞ見守って下さると嬉しいです。これからも頑張ります！ (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
空白 - メチャクチャ面白いです (2022年1月29日 0時) (レス) @page5 id: e38918ab99 (このIDを非表示/違反報告)
凪 - やっぱりこの作品大好きです。これからも読み続けますね。 (2022年1月8日 18時) (レス) @page1 id: ae77e7925b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラピスラズリ | 作成日時：2022年1月7日 16時
