感情の湧き上がりに持つ疑問 ページ15
Aside
すっかり疲れ切ったグレンさん達に、背後から征志朗が言ってくる。馬鹿にしきったような顔で、負け犬が、と言い捨てた。それで一斉にまた、笑い声があがる。
さゆちゃんとゆきちゃんは、悔しそうな顔をしている。
それはそうだ。明らかに悪いのは彼でも、自分たちはそれに反抗出来ないのだから。
でも、そうなっている原因である『柊家』の私が、ここに居ていいのだろうか。
そんな事を思い、そして、まだそんな感情が私の中にある事に驚いた。
「……あんまり、いじめないでくださいよ」
弱気な声でグレンさんは言った。その声と、後の周りの爆笑に正気が戻る。さゆちゃんは、グレンさんの体にぎゅっとしがみつく。グレンさんはそれに、顔を顰める。
「……まったくだな」
グレンさんは小さく呟いた。
それに何故だろうか。私は泣きたくなった。そしてまた、私は自身の湧き上がってくる感情に驚いた。
私まで泣きそうな顔をしているのに気がついたのか、グレンさんは此方をさりげなく見る。私が幻術をいつの間にか展開していた事にも気づき、彼は此方に視線を向けずに小さく告げた。
「来るなら来い。誰も、お前を責めたりはしねぇよ」
そして、彼らは校庭を歩き出した。
彼らは、『柊』である私が来る事を、そして治療することを許した。それは、ただ単に利用しようとしてるだけかもしれない。
それでも。
それでも、許されたのなら私は──。
「……貴方達三人の荷物を纏めてから行きます。場所は、貴方の家で構いませんね」
私はすれ違い様に言うと、グレンさんは肯定を返してきた。
私は、うんざりした気分で、校庭を後にした。
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ラピスラズリ(プロフ) - 空白さん» 返信遅くなってごめんなさい!面白いだなんてありがとうございます!これからも、更新頑張ります。 (2022年2月10日 1時) (
レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - 凪さん» 返信遅くなってごめんなさい!大好きと言っていただけるなんて光栄です!ありがとうございます。 (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - さくら＆りな(б∀б)さん» 返信遅くなってごめんなさい!やっと、続編まで来れました。更新が遅くなる事もあるかと思いますが、どうぞ見守って下さると嬉しいです。これからも頑張ります！ (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
空白 - メチャクチャ面白いです (2022年1月29日 0時) (レス) @page5 id: e38918ab99 (このIDを非表示/違反報告)
凪 - やっぱりこの作品大好きです。これからも読み続けますね。 (2022年1月8日 18時) (レス) @page1 id: ae77e7925b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラピスラズリ | 作成日時：2022年1月7日 16時
