醜い試合の終わり ページ14
Aside
「あれ、聞こえませんでした？ なら、分かりやすくお伝えします。征志朗兄様は人の話を聞くという事すら出来ないのですねと言ったのですが……何か間違いでも？」
「あるに決まっているだろう！」
「なら、この柊家の品位を落とす真似はやめていただきたいのですが」
真昼姉様と私の言葉に、すっかり捻くれた征志朗兄さんは吐き捨てる様に言う。
「……くそが。父上のお気に入りだからといって、いい気に……」
「なってません。父上から気に入られたいと思った事もありません」
「てめぇは……」
「それにこれ以上、あなたと言葉を交わす気もありません。監督官。この勝負、もう終わりましたよね？」
その様子に監督官は怯えながら真昼姉様を見る。
「あ、あの……申し訳……」
「いいから早く、この醜い試合を終わらせなさい」
「は、はい……」
そこで、征志朗兄さんの勝利が告げられた。
真昼姉様はさゆちゃんを抱えたまま降り、グレンさんの方は向かう。私も、征志朗兄さんの方へ少し目線を向けた後、試合場から降りた。
「はい、あなたの従者」
「……その、すまな……」
真昼姉様に差し出されたさゆちゃんの体を受け取って、グレンさんは謝罪しようとすると、真昼姉様が遮った。
「あなたに謝られるのは嫌い。特に、いつも女を守れない、弱いあなたには……」
そう言って、真昼姉様は去ってしまう。
グレンさんは、真昼姉様の後ろ姿を見つめる。
するとそこで、さゆちゃんの声が微かに聞こえた。
「……あ、あれ、わたくし……」
さゆちゃんが目を覚ましたのだ。彼女は体中あざだらけになってしまった。
なのに、さゆちゃんは嬉しそうにグレンさんを見上げた。
「あ、ああ、そうか……グレン様が、助けて、くれたのですね」
「……」
「あ、あの、すみません。わたくし、勝てなくて」
「……」
「で、でもですね、あの、ちゃんと一瀬の呪法は遣わずに、頑張りきりました」
「……」
「ちょっと、あの、無様な負け方に……」
「もう、喋るな。傷に障る。それにおまえは無様じゃなかった。こんなクソみたいな環境の中、よくやってくれている」
「で、でも……」
「喋るなと、言っている」
それきりさゆちゃんは黙った。そして、ゆきちゃんもやってくる。そこで私は、真昼姉様の後を追った様に幻術を展開した。
「グレン様。小百合のことは、私が……」
「いや、俺が連れて行く。家に帰るぞ。今日の試合は、終わりだ」
「はい」
「あと、おまえら、今日はよくやった」
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ラピスラズリ(プロフ) - 空白さん» 返信遅くなってごめんなさい!面白いだなんてありがとうございます!これからも、更新頑張ります。 (2022年2月10日 1時) (
レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - 凪さん» 返信遅くなってごめんなさい!大好きと言っていただけるなんて光栄です!ありがとうございます。 (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - さくら＆りな(б∀б)さん» 返信遅くなってごめんなさい!やっと、続編まで来れました。更新が遅くなる事もあるかと思いますが、どうぞ見守って下さると嬉しいです。これからも頑張ります！ (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
空白 - メチャクチャ面白いです (2022年1月29日 0時) (レス) @page5 id: e38918ab99 (このIDを非表示/違反報告)
凪 - やっぱりこの作品大好きです。これからも読み続けますね。 (2022年1月8日 18時) (レス) @page1 id: ae77e7925b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラピスラズリ | 作成日時：2022年1月7日 16時
