努力の輝きと曇り ページ12
Aside
おそらくグレンさんはこの試合に負けるつもりは無いのだろう。なぜなら二戦目は、昨日ご丁寧に来てくれた征志朗兄さんと当たるからだ。
さすがにそこで負けるつもりではあるのだろうけれど……。
「よろしくお願いします」
と、グレンさんは頭を下げた。相手は声をかけられる事すら厭う様で、鼻で笑った。
どうせグレンさんが勝つ事は分かっている為、私は真昼姉様の方に行くことにした。あそこに居た所で今回の罵声は庇いようがないであろうから。
三組と五組の試合舞台の方に着くと、歓声が上がっていた。舞台上を見ると、そこには真昼姉様がいた。
真昼姉様はこちらに気がつくと微笑んできて、「始め！」の言葉と同時に腰の着剣を抜いた。
真昼姉様の動きは早い。それでいて、華麗さも備わっている。相手の生徒はおそらく十条さんと同じ位の力量だろうが、圧倒していく。
やはり、強い人間は動きが美しいのだ。
その刀の動きや避け方にそれぞれ個性は出るものの、美しさは強ければ強いほど美しくなる。
真昼姉様は、グレンさんと離されてから必死に努力をしていたらしい。
そして、
元々の才能もあるのだろうが、一番は努力なのだ。
だから今、彼女は輝いている。
グレンさんの試合は終わったのか、非難の声が上がっていたが私は無視した。ここで私に絡まれるのも本意では無いだろう。
と、そこで。
「きゃぁぁぁ！」
別の場所──1組と4組の試合場から悲鳴が聞こえた。
それも、私がよく知っている声。
「さゆちゃん……？」
グレンさんも声が聞こえたのだろう。彼は振り返って会場を見ると、目を見開いた。
それと同時に汚らわしい歓声が聞こえる。
「殺せ！ 殺せ！」
「やっちゃってくださいよ、征志朗様！」
さゆちゃんの姿はもうボロボロだった。
殴られたのか、唇が切れて血が流れている。ぜえぜえと肩で息をし、もう体力も残っていなさそうだった。おまけに、セーラー服の前の部分が破けており、それを押さえる為に左手も塞がってしまっている。
相対する征志朗兄さんは、その様子のさゆちゃんを嘲笑う。周りの生徒達もそれをニヤニヤと嘲笑う。
征志朗兄さんに蹴られ、殴られた事でもう意識は無い筈なのに、さゆちゃんは今だに嬲られていた。
「監督官！ なぜ止めない！」
(ああもう！ 殺しは御法度だと言っているのに！)
私は怒りを必死に抑えながら走った。
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ラピスラズリ(プロフ) - 空白さん» 返信遅くなってごめんなさい!面白いだなんてありがとうございます!これからも、更新頑張ります。 (2022年2月10日 1時) (
レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - 凪さん» 返信遅くなってごめんなさい!大好きと言っていただけるなんて光栄です!ありがとうございます。 (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
ラピスラズリ(プロフ) - さくら＆りな(б∀б)さん» 返信遅くなってごめんなさい!やっと、続編まで来れました。更新が遅くなる事もあるかと思いますが、どうぞ見守って下さると嬉しいです。これからも頑張ります！ (2022年2月10日 1時) (レス) id: f58e338eee (このIDを非表示/違反報告)
空白 - メチャクチャ面白いです (2022年1月29日 0時) (レス) @page5 id: e38918ab99 (このIDを非表示/違反報告)
凪 - やっぱりこの作品大好きです。これからも読み続けますね。 (2022年1月8日 18時) (レス) @page1 id: ae77e7925b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラピスラズリ | 作成日時：2022年1月7日 16時
