12話 ページ13
和也side
翔「あの日君は僕に何て言ったっけ……」
翔ちゃんのラップに込めた思いが、俺の中で彼との記憶を辿る道標となってしまう。
今、彼との記憶を辿ったら泣いちゃうじゃん…。
そんなこと思っても止められるわけでもなく、たくさんの思い出が蘇るように脳内のスクリーンに映される。
病気って言われた時、怖かったはずなのに頑張るねって笑顔でいたこと。
自分の残り時間を知って泣いたあの日のこと。
俺のスペシャルドラマに喜んでくれた日のこと。
5人でいつかの番組の企画みたいな、素敵なシェアハウスができたこと。
撮影で最後かもしれない、もう来れないかもしれないハワイに行けた日のこと。
ハワイのベランダで話したのこと。
ドラマのエンディングで最後まで真っ直ぐに自分と向き合ったよってカメラ越しにみんなに伝えたこと。
そして……
人生の最後を告げるアラームが聞こえたあの日のこと。
貴方と過ごした全てが一気に蘇る。
リーダーのお葬式での言葉も、
貴方の残した手紙の内容も、
構成がびーっちり書かれたあのノートの内容も、
日記の内容も。
今見ましたって感じで思い出せる。
こんなにも近くに貴方を感じるのに。
手をいくら伸ばしたって届く気がしない。
さては潤くん…俺らと距離開けて覗いてるな？笑
なーんて…。
あ、俺らの番だよ。
和「待ってるだけじゃ、明日はないから。動いた、 ここじゃ始まらないから。」
翔「先の見えない暗い道路も、それが例え迂回路でも…」
この曲の歌詞ってさ、超剛球のストレートの野球ボールみたいにズドーン！って響くね。
今にも溢れそうな涙抑えて笑うのに必死だよ。
翔「また…いつか笑ってまた再会そう絶対…！」
智雅「たぶんあの時僕らは歩き出したんだ互いに違う道を…」
翔和「いつか…2人会った意味がわかる時まで…」
パーン！！
キャーーー！
会場中を銀テープが包む。
素敵な景色だね、潤くん。
嵐「車輪が回り出したら旅は始まってしまうから、もうはぐれないように過去をそっと抱きしめる…」
歌い切った…。
翔「どうもありがとーう！」
雅「ありがとーう！」
和「ありがとー！ばいばーい！」
智「ばいばーい！」
全力で客席に手を振る。
和「潤くん、大成功。」
マイクにも…隣にいるメンバーにも拾われないような声でポソっと呟く。
ステージがゆっくり下がる。
客席が見えなくなる寸前にしたピースサインは貴方がやっていたもの。
ありがとう、みんな。
ありがとう、潤くん。
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作者名：miu | 作成日時：2020年2月19日 23時
