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拓也と別れて1週間が経った。私は少し調子が良くなった気がしたので医師の方と相談をして軽く、ほんとに軽くレッスンをすることになった。
天月｢あーあーあー｣
先生｢もうちょっと上に伸ばしてみてーはい！｣
今日はレッスンに通いたての頃すごくやっていた基本を中心にやっていた。基本は大事だけどここまでやることって普通ないよね…
先生｢ちょっと休憩しようか｣
天月｢はい｣
先生｢あれ…ない…｣
先生は自分のバッグやファイルを探していた。
先生｢あー…ごめんね、会議室にダンボールがあるんだけどそれ持ってきてくれる？｣
天月｢あ、はい。いいですよ｣
先生｢中に楽譜とか入ってるからすぐ分かると思う｣
天月｢分かりました。とってきます。｣
私はそう言ってレッスンの部屋を出て会議室に向かった。会議室の奥にはダンボールが何個か置けるスペースがある。そこを開けると大きなダンボールがいくつもあった。
天月｢楽譜楽譜…あった、これだ｣
1番上にあったダンボールを取り出して持った。楽譜とはいえパンパンに入っていたので中々の重さだった。
天月｢うぅ…重い｣
ダンボールを会議室から出したはいいものの、これをレッスンの部屋まで持っていける自信がない。でも近くには忙しそうにしていたスタッフさんしかいないので手伝ってください、なんて言えない。
天月｢よいしょっと…頑張ろう｣
ダンボールを持ち直して歩こうとしたとき、ダンボールが上からひょいっと持ち上げられた。
天月｢…え？｣
上を見上げると眼鏡をかけた高身長の…私の大好きな人が立っていた。
江口｢持っていくよ。どこまで？｣
天月｢あ、いえ…大丈夫です｣
江口｢華奢な女の子にこんな重いもの持たせる訳にはいかないでしょ？｣
天月｢…すみません｣
江口｢すみませんじゃなくてありがとう、がいいかな｣
天月｢そうですね…ありがとうございます。えっと、レッスンのとこまでお願いします｣
江口｢はーい｣
江口さんとはレッスンのところまで会話はなかったけど久しぶりに話すことができて少し嬉しかった。
天月｢ここですね｣
江口｢わかった。これでよしっと…｣
天月｢ありがとうございました｣
江口｢いえいえ！頑張ってね！｣
そう言って私の頭を優しく撫でた。懐かしいな…この感じ。江口さんはニコッと笑って別のところに向かった。一生のお願いがあるならもう一度…もう一度私のところに戻って来て欲しいな。
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作者名：空白 | 作成日時：2021年4月6日 21時
