歌手と有名声優の甘い恋④ (ページ17)

今日:8 hit、昨日:11 hit、合計:25,849 hit

163 ページ17

天月｢え、｣

病院につき検査をした後、私だけ病室に呼ばれたので話を聞いていると知りたくない事実を知ってしまった。

天月｢嘘…ですよね？だって治るって…｣

医師｢嘘なら良かったんですが…｣

医師の方もナースの方も深刻そうな顔をしていた。
あぁ、もう私は歌手として生きることが出来ないんだなと悟ってしまった。

天月｢じゃあっ…これからの仕事は…｣

医師｢良い方向に進めば出来ますが今のままだと厳しいかもしれませんね｣

検査結果が書かれた紙を見てただ俯くことしか出来なかった自分にすごく腹が立った。

天月｢良い方向に進むことは…できますよね？｣

医師｢できはしますが…すごく確率が低く、厳しいです。今の状態で仕事を続けると天月さんが今後、普通に話すことが危うくなってしまいます｣

天月｢そんな…｣

医師から遠回しに歌手は続けることが出来ない、と宣告され涙を流すことしか出来なかった。

天月｢ただいま｣

悠木｢どうだった？｣

天月｢何ともなかったよ｣

そう言いながらペットボトルの蓋を開けた。少し手が震えていたのは気のせいだ。

悠木｢嘘だよね？｣

天月｢……｣

悠木｢何かあったんでしょ？｣

天月｢別に｣

その瞬間、頬に痛みがはしった。驚いてあおちゃんの方を見ると目に涙をためていた。

悠木｢約束っ…覚えてないの！？結果は絶対に教えるのと…辛いことがあったら話す…今がそうなんじゃないの！？｣

あおちゃんは私の肩をぎゅっと掴みながら震えた声で言っていた。私はもらい泣きしそうになった気持ちをぐっと堪えて、検査結果が書かれた紙を渡した。

天月｢私…もう歌手続けることが難しいんだって｣

心配をさせないように頑張って笑顔をつくった。笑顔を作っていても自分の頬を伝って涙が流れるのがよくわかった。

天月｢治るのが厳しいって…治るって言われてたのに…なんで私が発声障害なんか…｣

あおちゃんは涙を流しながら黙って相槌を打ち、私の話を聞いてくれた。そして辛いね、話してくれてありがとね、とずっと言っていた。