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｢江口さーん！｣
江口｢はーい｣
｢拓也さんまた呑みに行きましょう！｣
江口｢そうですね！｣
｢これ差し入れです！｣
江口｢ありがとうございます！｣
あれから拓さんは女性スタッフに声を掛けれることが増えた。正直私も限界だった。予定してたお家デートは拓さんに急遽仕事が入ったから出来なくなるし女性と楽しそうに話すし差し入れも笑顔で受け取るし…
その日も1番に楽屋に入り練習をしていた。今日はそんなに夢中になれなかったのでみんなの話し声などが耳に入ってきた。
｢あ、江口さん！｣
江口｢はーい。どうしました？｣
またあの人拓さんに話しかけてるよ。私は段々とイライラしてきた。あの人、どうせ江口さんは私に気があるとか思ってるんでしょ。ふざけないでよね。台本を持っていた手に力が入り台本にくしゃっとシワをつけてしまった。
｢江口さーん、そろそろ連絡先交換しません？｣
江口｢あ、えっと｣
私は台本を机に置いて拓さんとスタッフさんの間に割り込んだ。
天月｢あの、拓さんにはお隣がいるんで。あともう出て行ってください。｣
いつもの声より数トーン低くして話した。そして女性スタッフを強引に楽屋から追い出した。楽屋にいた人は全員私がイライラしていることを察しただろう。
江口｢A？｣
私は拓さんの方を向いて大きな体にぎゅっと抱きついた。拓さんの匂い…安心する。
江口｢ちょ、ここ楽屋｣
天月｢私、そんな余裕ないんだけど｣
江口｢……え？｣
天月｢拓さんが女性と話したりとか女性が多い呑み会に参加したりとかしたらふつーに嫉妬する。でも拓さんのこと縛りたくないし迷惑かけたい訳じゃないから黙ってた｣
江口｢えっと…A？｣
天月｢私のこと…嫌いになった？｣
江口｢そ、そんなわけないだろ！｣
天月｢ほんとに…？｣
江口｢ほんと！Aしか見てないしA以外と付き合うなんて無理だから！｣
天月｢拓さん…｣
江口｢Aがそんなに心配なら女性の連絡先全部消す｣
天月｢いやいやいやいやさすがにそれはダメ｣
江口｢俺はそれぐらいAのことが好きだしAしか見えてないから｣
拓さんは私をぎゅっと優しく抱きしめてくれた。何だ、心配なんかしなくて良かった。
天月｢…安心した｣
西山｢ちょっとおふたりさーん。イチャイチャするなら他所でお願いしまーす｣
ス｢天月さん次お願いします｣
天月｢はーい。今日一緒に帰ろ｣
私はそう言って収録に向かった。
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作者名：空白 | 作成日時：2021年4月3日 20時
