夏油傑の悩みの種 (ページ24)

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「あんたはほんっとバカね。黙って私の罪被っとけばいいものを」

『あんたはっ……高城美里…』

高城「あっ、私のこと知ってる感じ？嬉しいな〜。有名人じゃーん！」

『その剣先を私の方に向けなさい』

高波「えー？やだ」

そう言うと高城美里は剣先を喉元から離し、美佳の腕に深く刺した。

高波「うああ！！！！」

高城「うるっさ。ちょっと黙っててくんない？」

『それ以上…美佳に近づくな！』

高城「私さ、五条悟がいるのにホイホイ戦うようなバカじゃないわけ。分かる？」

『1mmも分かんない！！』

残りの呪力を使い切って領域展開をすることは出来る。でもあそこに美佳がいる以上、領域展開するのはまずいだろう…今度こそ間違いなく死んでしまう。

高城「げっ…もうお迎え来てるっぽい」

『…美佳離してさっさとお迎えのとこ行けば？』

高城「そうだね。んじゃ、そうするわ」

高城美里は持っていた剣で美佳の胸あたりを思い切り刺した。そして乱暴に引き抜くとどこかへ消えて行った。気配を消すのが上手い、というのもあるんだけど高城美里なんか気にならないぐらい美佳が心配だった。

急いで美佳に駆け寄ると何とか息はあるみたいで助かった。

『美佳っ…美佳！！大丈夫だからね、今硝子か梨花ちゃん呼んで治してもらうからね！！』

高波「A…あのね…」

『喋らないで！！すぐ呼ぶから！！』

美佳の手をぎゅっと握ってスマホで硝子に電話をかけた。そして要件だけ伝えて切った。

『美佳っ…美佳、やめてよ…死なないで…』

高波「あのね…全部Aの言った通りなんだよ…私は人1人として殺してない」

『知ってる…そんなの見つけた時から知ってる！！』

美佳の頬には雨か私の涙か分からない水がぽたぽたと落ちていった。私が硝子みたいに傷を治せたら…私が傑や悟みたいに強かったら…私がもっと

高波「A」

美佳の声でハッとした。私…今何考えてたんだろ。

高波「親友がAで良かったよ」

『私もだよ…だから死なないでよ！お互い独りなんだから！私を置いて行かないでよ！』

高波「あのね…」

『話さなくていいから…生きてよ…』

高波「Aと出会った日のこと、喧嘩した日のこと、初めて任務に行った日のこと。全部覚えてるよ」

美佳は喉が掻っ切られたというのに掠れた声で私に言いたいことを全部ぶつけてくれた。もう美佳は死ぬんだ。その事実が私の胸に深く刺さった。

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