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こっちに走ってきた美佳の懐からさっと呪具を盗むとそれで腕を切った。美佳は痛さで顔を歪めたがすぐに私に攻撃を繰り出した。




相手に攻撃をして防御して躱して、の繰り返し。体力には自信があるけどさすがにキツいっ…美佳は私より体力があるからまだまだ余裕なんだろうけど。





『はぁ…はぁ…』

高波「もう終わり?2級って案外弱いのね」

『あんたこそ身体中傷まみれじゃん。特級並って聞いたけど特級呪霊の方が強いわ』

高波「…軽口叩けるのも今だけよ」

『そっちこそ』





頬に冷たい感触があった。雨だ。どちらの勝利を祝ってかは知らないけど雨がポツリポツリと降ってきた。私結構、雨好きなんだよね。つまり私の勝利を祝ってるってこと。





『ふふっ』

高波「なに急に笑って。気持ち悪い」

『フィニッシュと行こうか』

高波「あ?何わけわかんないこと言って…」






私が何をしたいのか察したのか距離を取った。しかし時すでに遅し。私はもう準備が整ってるんだよ。




『領域展開 換骨奪胎』





その瞬間、白い光に包まれた。何も感じないでしょうね。





『美佳、気分はどう?』

高波「さいっ…あ…くよ」

『ただ突っ立ってることしか出来ないなんて可哀想』





私の術式はコピーすること。だけど領域展開をすると相手の術式はもちろん呪力まで奪い取る。そのせいで相手は動くことも出来ない。


1歩、また1歩と近づき美佳の目の前まで来た。そして親指を下に下げた。すると美佳の体はズタボロになり領域展開がとけた。





五条「A!!」

『お、悟じゃん。どうしたの?』

五条「どうしたのじゃねぇよ!領域展開したと思ったら…」

『待ってね。今トドメ刺すから』






悟に呪具を取ってもらいその場で血まみれになって倒れている美佳に近づいた。もしここで逃げ延びたとしてもう戦える体ではないだろう。




『美佳、なんでこんな事したの?』

高波「ははっ、別に大したことじゃないよ」

『いいから言って』

高波「…私には弟がいるの。知ってるでしょ?」

『うん。知ってる』

高波「弟がね…殺されたの」

『……は?なんで?』

高波「弟は…私の何百倍も強いの。五条悟ぐらいね。だけどメンタルが弱い。呪詛師に何か吹き込まれたらそれこそ終わり。だから弟は…銀は上に殺されたのっ…」




美佳のその時の顔は酷く悲しそうで上層部を恨んでいるかがわかった。私の100倍以上悩んでたんだね…




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作者名:空白 | 作成日時:2021年6月9日 23時

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