夏油傑の悩みの種 (ページ15)

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七海「加味さん…やりすぎです」

『はぁ…はぁ…ちょっと休憩する？』

健人を体術で固めているとギブアップなのか、やりすぎだと言われた。確かに最初から飛ばしていたせいか体力はもうない。健人を離して椅子の上に置いていたお茶を1口飲んだ。

『…あの子がいたら私に教えて。すぐ駆けつけるから』

七海「任務中だったらどうするんですか？」

『それでも行く』

七海「分かりました」

『私が何とかするからあの子には指1本触れないで』

健人はため息をつきながらも分かりました、と言った。今日、あの町で会ったのは間違いなく私の親友の…いや、親友だった高波美佳(みか)だ。保育園から一緒で両親が亡くなった時も慰めてくれた。

彼女も私と同じで呪霊が見える。確か京都の高専へ進学しているはずだけど…詳しいことは分からない。

『…美佳は何人殺したんだっけ』

七海「13人です。そして7人が意識不明だそうです」

『じゃあ指名手配されてんじゃん』

七海「はい。出会ったら仕留めるよう上から指示が来ています」

『…そ』

今日は終わろっか、と言って脱いだ上着を持った。健人に八つ当たりしたみたいで申しわけない。でも今だけは好きにさせて欲しい。気が気じゃないから。

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五条「よっ」

『悟…どうしたの？』

五条「どうしたのはこっちのセリフ。とりあえず部屋来いよ」

『はぁ？なんで？』

五条「傑も硝子も潮凪もいるから。早くしろ」

『え？ちょっ、悟！？』

寮に戻って来るなり悟に手を引かれて男子の寮の方へ連れて行かれた。抵抗しようとしたけど男の人の力に適うはずもなく。

痛いから離して、と言っても逃げるからやだと言われて終わり。こいつ私が女の子だってこと忘れてない？

五条「洗いざらい話してもらうからな」

『…別に面白いことなんてないけど』

五条「分かってるよ。でも全部話せ。いいな」

『……………はーい』

一瞬、悟が私を掴む手を緩めたので振り払って逃げようかと思ったけど現実と向き合おうと思い、悟の後ろを歩いた。

私の歩幅に合わせて歩いてくれる辺りは紳士だなと思う。女遊びしなかったら多分惚れてたわ。

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