ヴィランになっても (ページ44)

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「オールマイト、あの女の子！多分Aちゃんです！耳の機械のせいで自我が保ててないようだけど僕らに攻撃は一切しなかった…多分まだ自我はあります！」

「そうか、ありがとう」

何となく耳のピアスを触った。

…そうだ。私はヒーローだったんだ。みんなを助けてて、イレイザーやオールマイトと仲良くて…

考え事をしていると脳無とオールマイトが交戦していた。

バックドロップでなんで爆風起きるの…

『オールマイト！？』

バックドロップをした所には黒霧さんがいてオールマイトの腹部に脳無の指がくい込んでいた。

黒霧さんはオールマイトを引きずり込み、バラバラにするのが目的だ。このままじゃオールマイトが死んじゃう…

体が痺れたように動かない…

緑の髪色をした子が浅はかにも突っ込むと黒霧さんがそれを阻止した。

「どけ邪魔だデク！」

しかし、それをクリーム色の子が助けて黒霧さんを押さえつけた。そして氷結が脳無を襲い、オールマイトは抜け出すことができた。

赤髪の子が私と弔くんに攻撃しようとしたのでバク転をして躱した。

反動で顔を隠していたフードが取れて生徒達と目が合った。

「テメェ…何でこんなとこにいんだよ」

「かっちゃん、操られてるんだよ！耳の装置で！」

『私は…なに…を、』

「お前はただ言うことを聞いていろ」

『まっ、弔くっ…あ"あ"あ"あ"あ"！ごめ…なさ…っ』

頭を抑えてしゃがみこむと何とか保っていた自我がなくなりそうだった。

「もうこれは必要ないかな」

弔くんは私を覆っていたマントを取るとその場にいた全員が目を丸くしていた。口々にウィンディアだ、と。そして弔くんが脳無と呟くとワープから抜け出して、崩れた手足を再生させた。

「まずは出入口の奪還だ。行け、脳無」

脳無は真っ直ぐ黒霧さんの方へ向かうととんでもない威力の攻撃をしていた。咄嗟に右手で念力を使い、脳無の攻撃を和らげた。

『「勝己！／かっちゃん！」』

勝己…そうだ、勝己だ。私が大事にしてた人。あれは出久だ。思い出した。

砂埃が晴れると殴られたのは勝己ではなくオールマイトだということがわかった。良かった…

「ウィンディア、自我はあるんだな」

『オール…マイ…ト』

「だったら大丈夫だ。早いとこ目を覚ませ！」

動け体！弔くんは敵。私を洗脳させただけなんだ。だから言いなりになっちゃいけないんだ。

『私は…ヒーロー！！』

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