ヴィランになっても (ページ38)

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爆豪勝己 side

雄英から電話がかかって来たかと思えばAの事を聞かれた。あいつに何かあったのか…？

「君は一応Aの恋人だから教えるが、他言無用で頼む」

「…何かあったんすか」

「Aが行方不明になったんだ」

その瞬間頭が真っ白になった。昨日まで隣で笑ってて、今日だって出張に行ってて…

行方不明？あいつに限ってそんな事はないはずだ。

「なんかの間違いじゃないんすか」

「間違いだとこちらも思いたいよ…」

若干震えている声が本当にいなくなったんだと感じさせた。何であいつが。雄英行くって折角意気込んでたのに。

「とにかく、何か些細なことでもいい。思い出したら情報を提供してくれ」

「…っす」

耳元で無機質な音が流れた。あいつが行方不明？きっと何かの間違いだ。出張が終わったらまた『おはよう』ってあの笑顔で言ってくるはずだ。

「爆豪、電話終わったなら戻れー」

どうやって教室まで戻ったのか覚えてねぇ。とにかく頭が真っ白で何も考えられなかった。

「嘘って言えよ…A…」

あの時の電話は遺言のようなものなのだろうか。考えても依然として答えは出なかった。

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