ヴィランになっても (ページ37)

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「先生、早まらなくてもいいんじゃないのか」

「弔、どういうことだ？」

「5分時間与えてやるんだよ。その間に何するか見物だ」

「いい案だ。ウィンディア、5分時間をあげよう。それ以上はもう待たないがな」

こいつらなりの同情って訳か…急いでスマホを取り出した。ここで助けを求めたところでどうにもならないのは分かってる。それなら言いたいことを言うんだ。

上着を引きちぎり、止血している間にオールマイトと勝己に電話をした。今までありがとうと伝えたくて。

応急処置も電話も終わると2人に向き直した。

「命乞いをしないなんて、子供らしくないな」

『命乞いした所でどうにもならないもん』

「思っていた以上に賢いようだな」

こちらへ来い、と手を伸ばしてきたのでスマホをその場へ置いて2人の元へ近づいた。そしてどこからともなく現れた黒いモヤの中に引きずり込まれた。

『ん…』

ギュッと瞑っていた目を開けると知らない場所へ来ていた。ワープの個性か…

1本前に踏み出すとグサッと何かが体に刺さった。

『う"あ"あ"あ"！！』

そして今まで経験したことのない痛みが私を襲った。痛い痛い。苦しい。辛い。

『がはっ…はぁ…はぁ…』

「君はいい個性を持っている。しかし、もっと強くなってもらわないと困る」

『なに…した…の、』

「個性を与えたんだよ。しかし…少し弱いな。もう少ししなければ」

『あ"あ"あ"あ"！！』

たった数十秒なのにとても長く感じる。痛い。辛い。苦しい。なんで着いて来たんだろう。

『や…だ…』

「君には念力の個性を与えた。上手く活用してくれ」

『いた…い…』

そこからは地獄の毎日が始まった。

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