ヴィランになっても (ページ34)

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夏休みに入る手前、ジーニストから呼び出された。

『出張？』

ジーニストの事務所で、ある1枚の紙を貰った。人手が足りないから3日ほど手伝って欲しいんだと。

『全然いいけど何で私？』

「今手が空いてるのがAしかいないんだ」

『なるほどね〜。いいよ、行く』

ありがとうと言って私の頭を撫でると大きな荷物を私に渡してきた。

『えっと…？』

「車は用意してある。気をつけるんだぞ」

『え？待って今から？』

「あぁ」

いや、あぁじゃないんだよね。分かってる？私明日も学校です。勉強しなくちゃいけないんです。

『別にいいんだけど…』

「何だ？何か不服か？」

『いやー、雄英受けるから勉強しなきゃいけないなって』

「雄英受けるのか！？」

『うん。ちょっと理由出来ちゃって』

嬉しそうに目を細めると頭を撫でた。ジーニストこんな表情するんだ…

「勉強は帰ってから教える。取り敢えず今は目の前の仕事を全うするんだ」

『…しょうがないな〜』

大きな荷物とピアスを持ってジーニストに背を向けた。勉強は帰ってきてから。今は目の前のことを全力で。

『行ってくるよ。ありがとね』

事務所を出て用意された車に乗った。ジーニストはいつもそうだよ。直前にならないと行かないって分かってるからこのやり方しかなかったんだよね。

全く、私を強くしたいんならそういえばいいものを。

『ほんっと、親バカだなぁ』

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