ヴィランになっても (ページ22)

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『…風邪引いた』

次の日、目を覚ますととんでもない頭痛と怠さに襲われた。熱を測ると38.5℃。大丈夫っちゃあ大丈夫だけど絶対止められる。

幸いにも体調悪いのが表面上出ないみたいだから助かる。だからこそ気づいた勝己がカッコよくて優しくて惹かれたんだと思う。

風邪薬を飲んでマスクを付ける。マスクは元々変装するために付ける予定だったし問題はない。

A予定変更。私の準備が終わり次第コンビニ向かうね

ジーニスト何かあったのか?

Aイートインコーナーあったからそこで時間潰そうかなって

ジーニスト分かった。気をつけるんだぞ

『了解のスタンプ送って…っと』

それらしい理由ができて良かった。イートインコーナーがあるのは本当だから怪しまれはしないと思う。

白いシンプルなワンピースにブラウンのコートを羽織って完了。早速ホテルを出て例のコンビニに向かった。

「いらっしゃいませー」

コンビニに入り栄養ゼリーと水を持ってレジに並んだ。その間もなるべく周りを見るようにして。

『…あ、カードで支払いします』

「分かりました！」

明るくてハキハキ話す可愛らしい女性の店員さんは笑顔を崩さずに仕事をしていた。貼り付けた笑顔なんかじゃなくて接客することを楽しんでるみたい。

「風邪引いたんですか？」

『えっ？』

「あ、いやっ…マスクしてらっしゃるので！」

『あぁ…ちょっと引いちゃって』

「もう冬ですもんね…気をつけてください！」

ありがとうございます、と返して手際よく会計を済ませた。イートインコーナーに入り耳につけた通信機に手を当てた。

『今のとこいないよ』

「わかった。…風邪引いたのか？」

『引いてないよ。演技だよ演技』

マスクを下げて栄養ゼリーを流し込む。
周囲を見渡したけど今のとこ来る気配はないかな。暫くスマホでもいじって時間潰しとこ。

15分ぐらい経っただろうか。目の前にある駐車場に黒い車が止まった。

『ホークス、敵の車のナンバーは？』

「詳しくは確認できなかったけど、2576」

『うん、来たよ。敵』

「コンビニ内の様子は？」

『レジに店員が2人。おそらく中にもう1人。客は5歳ぐらいの子連れ男性と老人のご夫婦。中学生の女子3人と男子高生2人だけ』

「12人か…冷静な状況説明ありがとう」

この敵はまだ準備が整っていないから行動は起こせないはず…

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