ヴィランになっても (ページ17)

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冬休みが明け、今日から学校。
パトロールやヴィランの捕獲などヒーローとして少しは名を残せたと思う。

「あ、Aちゃんおはよう！」

『出久おはよ〜』

「ヒーロー活動やってたんでしょ？テレビ見てたよ！」

『え"…テレビに出てたの？』

「知らなかったの！？めっちゃかっこよかったよ！」

『えーなんか照れる笑』

教室に入るなりヒーローオタクの出久に褒められた。女子と話すの苦手っぽいけどヒーローの話となると関係ないらしい。

出久から一方的に褒められていると段々と人が集まってきて、いつの間にか私を褒めようの会になってしまった。

その会もチャイムが鳴ると終わり、各々席に着いた。良かった…あれ以上されると恥ずかしさで死んじゃう。

『勝己おはよ』

「おー」

『あ、寝癖ついてる』

勝己の頭に手を伸ばそうとするとパッと手を振り払われた。

『あっ、ご、ごめん…』

「あ、いや……チッ」

『何で舌打ち！？』

勝己の表情はどこか申し訳なさを感じたので何となくわざとじゃないんだなと思った。でもいきなり触られたら嫌だよね…気をつけないと。

「Aー、もうすぐバレンタインだねー」

『もうすぐって…来月じゃん』

「もうすぐだよ！今年一緒に作らない？」

『いいよ。ジーニストに作んないと』

「私は好きな人に渡したい〜！」

『真由(まゆ)好きな人いるんだ』

「いるよ！Aは？」

好きな人…そう言われて真っ先に思いついたのは隣の席の勝己。いや別に…好きとかじゃないし。気になるってだけだし…

「何その反応！さてはいるな〜！」

『い、いないし！惚れてねぇーし！』

「それ冬休み中も聞いた」

取り敢えずバレンタインの前日は真由の家でチョコを作ることになった。ジーニストとイレイザーとマイクとオールマイトと…エンデヴァーにも作ってあげるか。

あとは…勝己も？

いやいや友チョコだから。義理なのかな？
どっちでもいい。とにかく私は好きじゃないから！

『好きじゃない…そう…他と比べてってだけだから…』

「A？おーい？」

「……チッ」

勝己の小さい舌打ちは私の耳にも入った。だけどそんなこと考えられるほど今の私には余裕がなかった。

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