9話 ページ10
今殺されるということは無いと思うが、売られるくらいならば死んだ方がマシだ。
「あの、私って売られるんですよね」
「え〜？なんで知ってんの？」
「…白髪の男の人が言ってました」
すると、タイミングが悪いにも程があるが車を駐車した音が聞こえた。
「首領が帰ってきたぞ。」
蘭が私の両腕を拘束し、竜胆が私に銃口を突きつけながら歩くように命令される。
一階に下りると、長く白い髪の女の人が居た。左側は刈り上げている。
近寄ってきて、銃を突きつけるのを竜胆と代わった。
近くで見ると体つき的に男だと分かる。三途や九井といい美女みたいな男が多いな、なんてこの状況で考えるのだから幾分か頭がおかしくなっているんだろうな。
出口にたどり着くと、いつかの白髪男が入ってきた。
九井と蘭が頭をさげる。
「…女は首領室に連れてけ。…客はすぐ護衛付けて来るから」
二人は、はいと返事をして私をまた首領室へ。
白髪男が何処かへ消えたので、腕を振りほどけないかと抵抗してみるが、更に力を加えられた。
今頭を撃たれても確実に死ぬし、蘭は意外と力が強かったのでなぶり殺しにされる可能性もある。
首領室につき、さっきまで撃ち合いをして穴が空いたテーブルや椅子が目につく。穴を隠すため私は椅子の穴の空いたところに座らされる。そして、肩を外された。腕を手錠かなにかで拘束された。
「はー。名残惜しいけど売られた所で頑張ってね♡」
蘭ががニヤついてそう言った。
「名残惜しいなら、引き止めてくださいよ。」
皮肉にそう言ってみるが、頭をポンポンとされただけで返事は無かった。
「お前、先週売った女にも同じ事言ってたよな」
長い白髪の男がそういうと
「もー！九井それはお世辞だからぁ」
「いつもお世辞のくせに」
「辛辣だなぁ。今回はお世辞じゃねぇよ♡」
九井がこの人なのか。蘭は私を見てまたニヤつく。
「背高いのとかさ。良いよね」
「…そうですか。」
「…あのさぁ、お姉さん殺し屋でしょ？」
頭を縦にふる。
「今まで相手してきた殺し屋の中で一番強かったよ♡」
「…それ褒めてるんですか？」
もちろん、と言われ少し悔しくもあった。殺し屋の中でというのが気に入らない。
九井が思い出したというように手を叩いた。
「どっかで見たことあると思ったら…。《優しい殺し屋》だろ、あんた。」
そういえばその界隈ではそう呼ばれて居た。
「…何処かでお会いした事がありましたっけ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 49人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆも | 作成日時：2022年3月26日 0時
