1話 ページ2
今日も夜から仕事が入った。最近は日本で殺しの依頼が多い。日本人は平和ボケしていると勝手に思っていたが最近はそうでもないらしい。今回はヤクザの〇〇組若頭を殺す。
今若頭のいる場所は郊外の廃ビル。
人を攫っていたぶるのが趣味というとんでもない男。この界隈では珍しくもない。
壁を伝い、廃ビルの屋上に登った。
ゆっくり歩みを進めると人の声が聞こえた。
「はは、もう死んじまうよ〜お頭ぁ」
「…っクソが…」
ゴッ、と頬を殴った様な音が聞こえた。扉を少し開け中を覗くと若頭と思われる男とその周りに8名ほど男がいる。
睡眠薬をドアの隙間から流し込む。充満するまでドアを閉めた。時間が経ってからドアを開けると皆眠っていた。
さらわれた人以外のヤクザに、脳天目掛けて銃を撃った。
さらわれた人は上半身裸だった。無数の痣が斑点状にできている。体を見るに、古傷があったり鍛え上げられていたりと、こちら側の人間らしい。
真っピンクに染められたウルフヘアも耳に付けられている無数のピアスも、口の横にある古傷も輩感が半端ない。
取り敢えずヤクザ達をひとまとめにして、火を点けた。そしてスイッチ式爆弾を設置し、足早にビルから出た。
なんとなくピンク頭の男を担いで来てしまった。
男を壁にもたれかけさせて、爆弾のスイッチをいれた。遠くからドドーンと爆発音が聞こえた。すぐにニュースになるだろう。
ビルから離れた路地に駆け込み、男を揺さぶってみる。反応ナシ。
「おーい、おはようございまーす。」
耳元で声をかけると、ピク、と指が動いた。
意識が戻ったようだ。
「…いっ…」
動こうとしていたが、傷が痛むのか身動きがとれなさそうだ。
「大丈夫です、私はあなたに何もしません」
「…っクソ、どうせアイツ等の仲間だろうがよ…」
信じてくれなさそうだ。頭部は出血しているから貧血気味になっているのか顔色が悪い。
ターゲット以外は殺さないが私のモットーだ。
人殺しをするのは仕事だからで、趣味じゃない。
なんなら人助けをしてやりたいくらいだ。
「信じてくださらなくて結構。ですが、無差別に人をいたぶる事もしませんし殺しもしません」
「あぁ……?だからなんだよ」
つくづく目つきの悪い男だ。
「私には今2つの選択肢があるんです。貴方を助けてあげるか、ここに放置するか。」
「助ける…?ハッ、んなバカな嘘信じるほど間抜けじゃねぇよ」
そういきり立ったが、またすぐに彼は意識を手放した。
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作者名:ゆも | 作成日時:2022年3月26日 0時