【wrwrd!】拝啓大好きな君へ【短編】 (ページ3)

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煙草/syp ページ3

彼女は俺が物心ついた時から隣にいた。偶然、同じ病院で産まれて、偶然、家が近所だった。所謂、幼馴染みというやつだ。

幼馴染みは恋愛対象じゃないと言う奴も多いが、俺はずっと彼女の事しか見ていない。彼女に似合う男になりたかった。
そのために彼女が乗ってみたいと言ったバイクの免許を取って、大人っぽくてかっこいいと言った煙草を始めた。

....今のところすべて空振りに終わっているようだが。

『最近どう？』

sp｢いつもと変わらずやな。 Aは？｣

『私も変わらずやな～』

社会人になった俺たちは月に一度ほどこうして居酒屋で飲みながら近況報告をしている。
いつもと変わらない彼女に安心しつつ口にくわえた煙草に火をつける。

『まだ、煙草やってんだ。』

sp｢まぁ、やめられへんよな。｣

彼女の理想に近づくために始めた煙草も、いつの間にか自分の生活の一部と化していた。

『そっか... でも、健康に悪いからそろそろやめてもええんやない？』

sp｢なんや、心配してくれるんか？｣

『そりゃあ大切な幼馴染みやもん。』

sp｢大切な幼馴染み......ね。｣

そう呟くと聞き取れなかったのか彼女は、なんか言った？と不思議そうに聞く。

sp｢なんでもないで。....そろそろ帰るか。｣

『そうやね。』

自分の分を出そうとする彼女を制して二人分の料金を払い店を後にする。