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それからしばらく飲んで……
「じゃあ夏樹ちゃん、またね」
「うん、気をつけて」
麦ちゃんと酔って寝てしまった桔梗さんを乗せたタクシーを見送る。
向こうでは志摩さんが伊吹さんをタクシーに押し込んでいた。
陣馬さんと九重さんもタクシーに乗って帰って行って……あっという間に、その場は静かになってしまった。
「一ノ瀬」
「あ、志摩さん。
最後の最後までお疲れ様です」
「ほんとだよ」
後ろから聞こえてきた声に振り向くと、伊吹さんをタクシーに押し込め終わったのか、志摩さんがこちらへ歩いてきていた。
今日の志摩さんはまさに4機捜のストッパー役で。
志摩さんがいなかったらきっと大変な事になってたなぁ、としみじみ思い返す。
「一ノ瀬もタクシー？」
「いえ、そんなに遠くないので歩いて帰ります」
今日はありがとうございました、とっても楽しかったです。と頭を下げて歩き出す。
……すると、
「一ノ瀬！」
少し進んだところで志摩さんに名前を呼ばれて振り返った。
「また飲もうな」
「！」
"あんな事してたんでお酒を飲む時も皆さんが誘ってくれなきゃ1人ですよ！ひとり酒！"
それは、私が言った言葉を気にしてくれたのか……
また、と言ってくれた事が嬉しかった。
と同時に志摩さんって優しいよなと改めて実感した瞬間。
「ありがとうございます、ぜひ！」
小さく手を振って歩き出す。
お酒を飲んで、見送ってくれる志摩さんに手を振って、家へと足を向ける………
なんだか、志摩さんと初めて飲んだ日を思い出してしまう。
懐かしいな、と思いを馳せていたら……夜の街を照らす街灯が、不思議とキラキラ輝いて見えた。
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作者名：セレーナ・ラフィーネ
| 作成日時：2020年10月19日 18時
