6.あの時見た夢 ページ17
「んーっ、やっぱり美味しい!」
仕事終わりに誰かと飲むお酒はやっぱり美味しい。
よく飲むな、と笑う志摩さんよりかは私の方が確実に沢山飲んでいて……
志摩さんももっと飲んでいいのに、と思ってしまう。
あぁ、でも仕事に響くからやめたほうがいいのか。
「そういえば、この前お昼にメロンパン食べたんです」
「奇遇だな、俺らもこの前メロンパン食べた」
「やっぱりメロンパン号の影響ですか?」
「それしかないだろ」
あれのインパクトは強烈だった、と二人して笑う。
もう走らせないんですか?と聞けば、懐かしくなるけど無理だろうな。と答え、志摩さんはお酒を口にした。
.
「なんだか…懐かしいですね」
しばらくして、だいぶお酒がまわってきた。
机に突っ伏しながらお酒の入ったグラスを揺らすと、中の氷がカラカラと音を立てた。
メロンパンから始まって、出会った頃の話にあの事件の話、多くの思い出話をした。
「どれも昨日のことのように覚えてるのに……
時間が経つのは早いですね」
そう言った時、机に置いてあった志摩さんの携帯が鳴る。初期設定のままの着信音を奏でる携帯を手に取り……志摩さんは心底嫌そうな顔をした。
誰からだろうと首を傾げると、志摩さんは電話を切ったらしくそのまま机に携帯を置いた。
「いいんですか、出なくて」
「あー、いいのいいの。
どうせ大した用事じゃねぇし」
それから着信音は何回かなったけど志摩さんは全てに応答拒否し、挙げ句の果てにはマナーモード。
「もしかして、伊吹さんですか」
「……ほんと、良い迷惑だよ」
今日遅れたのも伊吹さん関連って言ってたし、苦労してるんだろうな……
でも、あの性格の伊吹さんと志摩さんは良いバディだと思うけど。
そんなことを思ってお酒を口に運んだ時、今度は私の携帯が鳴った。
画面を見ると……伊吹さんから。
「伊吹?」
「ご名答です」
流石に出ないのは可哀想だと思い応答ボタンを押そうとすると……志摩さんに携帯を取り上げられ、志摩さんが応答ボタンを押した。
そして"二度とかけてくんなバーカ"なんてちょっと子供っぽいことを言うものだから笑ってしまった。
携帯からは伊吹さんの"えー!?"という声が聞こえてきて途中で切れた。
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作者名:セレーナ・ラフィーネ | 作成日時:2020年10月19日 18時