中原中也ちゃん

帽子が21つ ページ28

「経営が傾いたからって
養護施設が児童を追放するかい？

大昔の農村じゃないんだ


いや そもそも
経営が傾いたんなら
一人二人追放したところでねぇ？」
『どうにもなんねぇな』
「だろう？

半分くらい減らして
他所の施設に移すのが筋だ」

中「太宰さん、中原さん何を云って……」


『手前が街に来たのが2週間前』

「虎が街に現れたのも2週間前」

『手前が鶴見川べりにいたのが4日前
同じ場所で虎が目撃されたのも4日前だ』


「国木田君が云っていただろう

〈武装探偵社〉は異能の力を持つ輩の寄り合いだと
巷間には知られていないが、この世には異能の者が少なからずいる





その力で成功する者もいればーーーーーー


力を制御できず
身を滅ぼす者もいる」

『大方
施設の奴らは、虎の正体を知っていたが

手前には、云わなかったんだろ』

「君だけが解っていなかったのだよ


君も〈異能の者〉だ
現身に奇獣に降ろす月下の能力者ーーーー」

月夜に照らされた白銀の虎

虎は、大きく吠えながら此方へ飛び掛ってきた

『おい！
離せ！！！邪魔だ！！』
「えー」
太宰が中原の腰を抱き乍攻撃を避けているのだ

『丁度良いだろ喰われろ』

「獣に喰い殺 される
最期というのも中々悪くはないが



君では私を殺 せない」
太宰が虎に触れた

すると虎は、元の少年に戻った

「私の能力は

あらゆる他の能力を触れただけで無効化する」

ボスっと意識を失った少年が太宰に抱き止められた


と思いきや
「男と抱き合う趣味はない」
などと云って手を離した

『おい』
其れを小柄な女性がゆっくりと床に寝かせる

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ラッキーカラー

あずきいろ

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