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警視庁に大熊が出前太郎に扮して逃走していることを報告したが、今送料無料キャンペーン中でこの近辺だけでも200人は走っているらしい。
出前太郎の流行がこれほど憎いと思ったことはない。
200人もいるとどれが大熊か見分けは付かないだろう。いちいち社員IDの確認なんて手間もかかる…
何かいい策はないだろうか。
「そう言や前みんな赤かったよな?」
「あのダサいのね」
「コスモデリバリー」
「ダサいのね」
「それウチの前身です」
「え?」
「4月にリニューアルしたんです。でも本部がケチでリバーシブルのジャンパーの背中に送られてきた出前太郎のワッペンを防水接着剤で貼り付けました。」
「「それだ」」
「どういうこと?」
「配達員にコスモデリバリーの方を着て貰うんです」
「糸巻さんに連絡入れよう」
______
『マルヒと思われる青いジャンパー発見。中町通りを西へ向かって逃走中。』
「了解です。
陣馬さんこっちです!!」
「おお!!」
無線から入る指示に従って陣馬さんに道案内をする。さっき作戦を練った結果、大熊は一人で取り押さえるのが難しいくらいに狂暴らしいため、挟み撃ちをして取り押さえることにした。
「志摩さん大熊見つけました。中徒川を自転車で走行中。この先はおそらく高架下の方へ繋がるはずです。先回りお願いします」
『了解』
読み通り、高架下に行った大熊を挟み撃ちすることに成功し、陣馬さんのラリアットが炸裂した。
しかし、それでも投降するつもりはないようで、ハサミを右手に構えて「しつけぇーんだよ」と口答えしてきた。
…どっちがだよ。
「あと1ヶ月と22日…捕まってたまるか。」
「1ヶ月と22日と、5年。強盗致傷の時効は10年じゃない。15年。平成16年に改正されてる。」
「古い情報を見てたんだな〜残念。」
「だったら何年でも逃げてやるよ!!」
大熊はハサミを捨てて背中から警棒を取り出した。このままでは埒が明かないと思い、3人が抑えにかかっている間に私はメロンパン号から無線で連絡を入れた。
「機捜404から応援要請。
被疑者が凶器を持って抵抗。場所は西御徒町6丁目、中町交差点付近
…ん?」
「16時35分、緊縛強盗、銃刀法傷害および自転車強奪の容疑で逮捕する!」
「ケンさんの殺害と杉並区の強盗致傷の件はまた別だ。」
「…要請いらなかったですか?」
「いや、念には念をだよ」
志摩さんにそう言われて、腑に落ちなかったけど頷いた。
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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月18日 17時