のんきな猫と死にたがり 3 (ページ33)

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「そんな顔すんな」

…わかってる。今私は酷い顔してる。
わかってるけど…

こんな酷な話を伊吹さんにどう持ちかけたらいいかがわからない。

頬を両手で叩いて喝を入れる。

「志摩さんすみません。もう…平気です」
「ん。」

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インターフォンを鳴らすとすぐに鍵の開く音が聞こえた。
玄関には伊吹さんがいて「いらっしゃーい！」と笑顔で出迎えてくれた。

「一応手土産。」
「です。」

近くのコンビニで買ったお酒とおつまみを渡す。

奥へ進むと、意外と整頓されている部屋に感心した。服とかシューズとか全然散らばってない。
分駐所の机の上はあんな汚いのに。

「Aちゃんから電話あって嬉しかったんだけどなー。志摩もついてくるとか…焼き餅焼いちゃった？仲間外れ寂しかったの志摩ちゃん！」
「引越しすんの？」
「無視すんなよ」

机の上には不動産の雑誌が3冊置かれていた。
前に羽野さんに「俺と住む？」なんて聞いてたもんな、聞いちゃいけない気がして返答は聞いてないけど。なんだ、2人うふふってたのか…

「3人で住むならどれぐらいの部屋が良いかなって」

「3人？羽野さんともう1人誰…」
「ハムちゃん…！？」
「そ！ハムちゃんとー、もう1人はガマさん。
　ハムちゃん気にしてんだよ。自分が隊長とゆたかのお荷物になってるって。
　その点俺は1人！
　さらにー！！
　うまくいけばきゅるっとしたハムちゃんと、きゅるっ、きゅるっ、きゅるきゅるきゅるー！！」

「うふふってるわけじゃないんですね、一方通行片思い」
「俺は将来を見据えてんの」
「だがそれは下心じゃねぇか。」
「ははっ、冗談だよ。それはそれ。これはこれ。
　ハムちゃんとガマさん1人もん同士がみんなで楽しく暮らせたらいいじゃん？なっ！」

下心はあれど、そんなにちゃんと考えていたのか、
またこの人は凄いな。今回は褒める意味の凄い。

「伊吹お前さ、「はいはい
　バカだって言いたいんだろ？」

「いいやつだな」

「…ドッキリ？」

志摩さんが面と向かって伊吹さんを褒めるなんて珍しい。そりゃドッキリと疑いたくなる。
手に持っていた缶ビールを机に置くと、伊吹さんは隠しカメラがないか探し始めた。そんな大層なもの仕掛けてない。

「下心込のハムちゃんはともかくガマさんは他人だろ」
「他人じゃねぇよ。俺の恩人。」
「誰も信じてくれなかった時に1人だけ信じてくれたってやつ？」

「そ。」

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