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「彼女、また勝手な行動をしているようですね」
「え…?」
警視庁の廊下を軽快にヒールを鳴らしながら歩いていた桔梗は、刑事部長として制服を確り着た眼鏡の男・我孫子豆治に呼び止められた。厄介な奴に出くわした、と桔梗は最初嫌な顔をしたが、内容が内容だったために足を止めて振り返った。
「組対の山崎から苦情があったんですが」
あれ、ご存知ないんですか?
わざとらしいリアクションに桔梗は、本当に面倒な奴だなとまた顔を歪める。
確かに“彼女”が何をしたかなんて知らないけど、名前を出されなくても誰の話をしているのか嫌でもわかってしまった。
マメジと私が知っている中で身勝手な行動する奴なんて、あの子以外いない。
Aだ、Aがまたなんかやらかしたのだ。
しかし何をやらかしたのだろう、
少し俯いて考えてみると、意外と、いや、すぐ簡単に見つかってしまった。
「まさか、」
「そのまさかです。わざわざ組対4課に赴いては資料を貸してくれだのなんだの…」
「…私からよく言っておきます」
「だから反対したんです、彼女を所轄から引っ張るのを。
女だから許されるとでも思っているんですか?」
「女だとか今関係ありますか」
「要するに。
本部にも連絡しないでまた勝手な行動を起こされると警察としての威厳が保てなくなりますから。わかってますね?」
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盗聴器が仕掛けられてからもう1ヶ月は経つ。
志摩からも伊吹からも彼女が最近大人しいと聞いていたため油断していた。1ヶ月前は何かするかもしれないと予測していたのに、まさか今になってアクションを起こされるとは、
ーーコンコン
「どうぞ」
失礼します、といって入ってきたのは志摩だった。
「報告書です」
「お疲れ様…
ねぇ志摩。Aになんか変わった様子はなかった?」
「いや、特に。
何かあったんですか」
「組対の山崎部長から苦情がきたんだって。マメジに言われた」
「えっ」
「多分エトリ捕まえたい焦りが出てまた一人で動いてるのかも。」
さっき我孫子から聞いた話を桔梗は手短に話すと、志摩はすべてを理解したように頷いた。
「…伊吹にも伝えてあの子が暴走しないように見張ってくれる?
私からも言っとくから」
「了解です」
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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月18日 17時