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隊長の家に盗聴器が仕掛けられたと告げられて、私たちは急いで隊長のもとへ向かった。
今まで彼女に合わせる顔なんてなかったから、2年前を最後にもう会わないように…
絶対に会わないように、と避けてきたのに、彼女とこんな形で会うとは思わなかった。
それでも、彼女をもう二度と危険な目に合わせたくないという気持ちが勝った。
「どうぞ……」
羽野さんが玄関に出迎えてくれた。それでもやっぱり目を合わせられなくて、軽く会釈をすると志摩さんの後に続いて隊長のもとへ向かった。
「隊長。」
「見つけた、盗聴器。」
隊長は何かの回路基板からペンチで盗聴器を取り外した。
…こんな簡単に見つかる仕掛けなら、狙われたのは隊長ではない、羽野さんだ。
今もなお、彼女が籠の鳥だと実感させられた。
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私達がここに来る前に連絡しておいたのだろう、鑑識と所轄の人たちも次々と到着した。
ゆたかくんと羽野さんを違う部屋に行かせて、私たちはリビングで状況説明をする。
「土曜の朝、急にお湯が出なくなったんです。
今思えばその自体給湯器を何者かに壊されたのかもしれません。」
「…それで修理業者に依頼した。」
「はい。日曜に来るはずだったんですけど、待っていても来なくて。手違いがあったと言われました。
翌日修理業者から連絡があって、今日なら修理に行けると急に言われました。
勤務中だったので、私は修理に立ち会えなくて…」
「第4機捜の志摩一未です。私が代わりに修理に立ち会いました。目を離した時間がありました。5分くらい…
その間に盗聴器が仕掛けられたとみて間違いないと思います」
「何も気づかなかったんですか?」
「はい、気づきませんでした」
志摩さんは「自分のせいで…」と、責任を感じているのだろう。顔に表れている。
でも、志摩さんが目を離した時間は、香坂さんに最後に会ったのはいつか聞くため私たちが電話をした時だ。
「隊長。ゆたかとハムちゃん、別の場所にやった方がいいんじゃないですか?」
「うん。」
「ホテルを手配します。」
「待って。
こんなすぐにバレる仕掛け、私が誰なのか知ってる人間の仕業とは思えない。狙われたのは私でも警察でもなく、
…羽野麦。
彼女は過去に闇カジノの情報を警察に垂れ込んだ。そのせいで辰井組とエトリという男に追われている。警備の薄い場所には置いておけません。」
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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月18日 17時