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メロンパン号の荷台に座って、大熊の身柄が所轄に引き渡されるのを見届ける。
3人がかりでやっとかー、随分と大熊しぶとかったな…見てるだけだったけど。



「もっと早く捕まってりゃあなー」

「無茶言うな。完全に閉じちまった人間の手は、掴めねぇんだ。

 あれ?俺、上着しらね?」

その一言で思い出す。
陣馬さん、今日顔合わせの日じゃん。
私たちは3人で陣馬さんに早く行くように急かすが、諦めたように苦笑しながら「もういいよ」と言われた。いや、全くよくない。絶対よくない!!



「退職後に1人トランクルームで暮らす生活でいいんですか??」
「ダメダメダメダメダメ。」
「絶対だめですよ!!早く行ってあげてください!!」

「いいよもう……」

「陣馬さん!!!」
「早く!陣馬さん!」


それでも荷台に腰掛けたまま動こうとしない陣馬さんに痺れを切らして、私たちは「「「もう、行けって!!」」」と背中を押した。



「ほらほら。行って行って。」

「早く。」

「ゴー陣馬さん。」


観念したように、陣馬さんが徐に走り出したのを見届けて、私たちはトランクルームに戻った。






_______






トランクルームに戻ると私たちは梨本が飼っていたきんぴらをどうするか話し合っていた。私も伊吹さんも官舎でペット禁止だし、他の人たちもあまりいい顔をしなかった。
すると、倉田さんが「うちの奥さん、猫大好きなんですよ」と言って仲直りをすると約束してくれた。





「行き先も決まったところで、歌っていい?」

ジュリさんの思わぬ発言に「は?」と一文字を返してしまった。
話の流れでどうなったらそうなるの。
今光の速さで話が屈折した気がした。そう思ったのは私だけ?


「…何で?」


「イベント行けなかったんだよ?ま、リクエストあれば聞くから。」

「「はい!」」

「はい来たー!!」










トランクルームの外に簡易ステージを立てると、スゥさんとモアさんのリクエストにより、ジュリさんを含めた3人がBABYMETALの曲を披露し始めた。
私はというと、出前太郎から今度こそメロンパンを受け取ると、18時を前にしてやっとお昼を食べられることにありがたみを全身で感じていた。


「よっしゃー!ハムちゃんと電話しよー!!!」


ふと伊吹さんのそういう声が聞こえて、私は立ち上がった。


「ん?Aちゃんどこ行くの?」

「…先に車に戻っています。」





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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月18日 17時

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