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「おっ!来た来た!!太郎太郎!
 出前太郎!こっち!……あれ?他の配達?」


新日暮里署管内の重点密行中、
時刻は13時を過ぎ、伊吹さんが出前を取ったためメロンパン号内で待っていた。
お腹が減ったからご飯が待ち遠しい。


「この前までコスモデリバリーが走ってたのに見なくなったな」
「名前がダサい。出前太郎の方がイケてる。」
「お昼、何頼んだんですか?」
「んー?
 来てからのお楽しみ〜」
「はっ、どうせうどんだろ?」
「うどんは休み。401も休みー」

「…陣馬さん、顔合わせ大丈夫かな」


なんでも陣馬さんの息子さんが結婚するらしく、今日は相手のご家族と顔合わせの日。
顔合わせ用のスーツは九重さんが選んでくれたんだと…前回の勤務日嬉しそうに話していたのを思い出す。


「結婚かー…」
「なに、Aちゃんも憧れるの?」
「まぁ、憧れはありますけど諦めてますね。もう30ですし」
「そんなこと言ったら俺らはもう35だぞ」
「おじさんですねー」
「5歳しか変わんねぇだろ」

はいはい、と2人を受け流していると、「お待たせしました!」と今度こそ私達のもとに出前太郎がやってきた。伊吹さんは嬉しそうにドアを開けて配達員から紙袋を受け取ると、それを志摩さんに押し付けて勘定を済ませた。


「なんでしたか?

 え…全部メロンパン」


イチゴ味やらチョコ味やら…味違いのメロンパンが全部で9個入っていた。
ご苦労様です、と配達員に声を掛けると、志摩さんにどれを食べたいか聞かれた。
別に何でもいいけど、強いて言うなら…


「紅茶で」
「それは俺が食べたい」

「子供か…
 じゃあ、チョコで」


案外子供っぽい志摩さんに紅茶味を譲ってチョコ味を受け取り、食べようとすると、伊吹さんに慌てて止められた。というより奪われた。

「ダメだよ、写真撮って!ちゃんと!」

「女子高生か。」
「ハムちゃんに送るの!!」


するとメロンパン9個を両手で持って志摩さんに写真を撮るように急かした。面倒くさそうな表情をしながらも写真を撮ってあげると、すぐさま携帯を奪って羽野さんにメッセージを送る。
返信が嬉しかったのか、画面を見ながら伊吹さんは口を腕で抑えると悶えた。反応が気持ち悪い。



『警視庁から各局。新日暮里署管内トランクルームに男性の遺体入電中。現場は新日暮里二丁目5番、トランクパラダイス。』

「機捜404あびこ橋から向かいます。どうぞ。」

『警視庁了解。』



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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月18日 17時

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