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私は助手席から降りると、冴羽の車を覗きに行った。
車の窓ガラスが暗くて中は見づらいが、乗っていたのは冴羽本人だけのようで中には誰もいなかった。怪しいものも見受けられない。


「本当に青池ですか!?」


冴羽の声が聞こえ、私は志摩さんと伊吹さんの元に戻った。


「やっぱりまるごとメロンパンっていうネーミングが売れない理由なんじゃないか?」


志摩さんから急にメロンパン号の討論を持ちかけられる。多分誤魔化してるんだ、面白いくらいに棒読みだけど。

「え?」
「名前だよ、名前」

「あー!!パイセン、わかってないな。やっぱりまるごとメロンパンだと思う。」


冴羽が車に乗り込んだのを確認すると、私たちも急いで車に乗り込んで後を追った。


「ほれ見ろ。直接聞いてみるもんだろ?」
「偶然棚ぼた盗み聞きの3連コンボでドヤ顔すんな」

「えー。機捜404から1機捜本部。
 冴羽が青池透子を見つけたと動き出しました。追尾します。どうぞ」



「…で、Aは何してたんだよ」

「何って車覗きに行ってました」
「中に仲間がいたらどうすんだよ」

「その時は…その時ですね」

志摩さんのため息が聞こえた気がしたが、気にしない。無視だ無視。



『1機捜本部より各車両、青池は羽田空港を目指してる。羽田行きの各線、バスターミナルなど、近隣の車両は捜索せよ』

『機捜401より1機捜本部。住之江組が動き出しました。
 組対の連中と一緒に追尾します』


怒涛の勢いで無線が飛び交う。
青池を追う組織がとうとう一斉に動き始めたのだ。

「Bと組対と1機捜と俺ら。誰が1番に1億円と青池ちゃんに辿り着けるか……
 ワクワクするね」

目の前には高速の看板が。
冴羽より先に見つけたるため、とうとう追尾をやめて追い越す。

「機捜404から1機捜本部。
 汐留から高速に入ります。冴羽も羽田に向かってるみたいです。どうぞ」


忙しなく無線で連絡が入る。すると、今度は青池の乗ったバスのナンバーを掴めたとの情報が。


『1機捜本部から各車両宛て。青池が乗ったバスが判明。
 ナンバーは品川2文字数字200。しんぶんのし。点の238。』


Bはどっちの情報を手に入れたのだろうか。
青池名義のチケットの情報を手に入れたのなら目指す場所は羽田空港だけど、もしリムジンバスという細かい情報まで気づいていたのなら…

最悪の事態にならないように、どうか間に合いますように
と、私は心の中で強く願った。



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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月14日 21時

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