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張り込みをしようと再びメロンパン号に乗り込み、PCショップACE付近に車を止めていた。
「土壇場でわかるよなぁ…そいつはどんな奴か。
隊長も青池透子も肝が座ってる。ね?うさちゃん」
そう話す伊吹さんの手には青池が作ったといううさぎのぬいぐるみが握られていた。
店員から持って行っていいと許可されたから貰ってきたらしいが
だからと言って普通受け取る?ああ、この人普通じゃなかった。
「うさぎって追い詰められるとオオカミも真っ青な強烈なキック繰り出すんだってー。アニマルチャンネルで見た。
だからさ、そいつの本性を知るには生死のかかった瞬間を見るといい。」
「…今の日本では滅多にないけどな、そんな瞬間」
「青池透子は、今がその“滅多にない瞬間”
今何を考えてどこに向かってるんだろうなぁ」
突然伊吹さんに振り向かれて、ウサギを使ってボサボサにされる。いい迷惑、いや普通に迷惑だ。でもなんとなく反応したら負けな気がして無視をしていた。
「あ、Aちゃん今うざいって思ったでしょ」
「わ―正解です」
「やったビンゴ!」
「よそ見すんな伊吹。」
「へーい」
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「志摩さん、これって横領ですか」
「だな…それであの大金か」
ついさっき隊長からメールが届いた。内容は青池透子の銀行口座について。
その情報をもとにホームページからログインして入出金の流れを見ていたのだが…ほとんど毎日100万円ずつ引き出されていた形跡があって、その総額が、約1億。
「あっ!社長の冴羽!!
ほら、店員が言ってた人と似てる。」
「んっ?」「えっ?」
伊吹さんの指差した先には白い車から降りて店内に入っていく、スーツ姿の男がいた。
確かに、店員の証言と合致している。
「ちょっと行ってくる!」
「待て待て」
伊吹さんがトラックの後ろから出て行こうとするのを志摩さんは慌てて引き止めた。
「青池透子は会社の金を横領してた」
「はぁ?」
「自分の口座に入れた金を毎日100万ずつ現金で引き出して昨日までの合計が約1億」
「スーツケースの金……」
「ヤクザの金なら盗んでも警察に届けられず罪にはならない。そう思ったのかもしれない。」
「やるなぁ……ますます青池ちゃんに会いたくなってきた!!聞いてくる!!」
伊吹さんはそう嬉しそうに言うと荷台から飛び降りた。
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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月14日 21時