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「相棒なんて一時的なものでしょう?
1年、あるいは3年経てば異動もある。4機捜は特に来年の4月になって人員に余裕が出たら解散。
仲良くなる必要も、余計なことを調べる必要もない。」
隊長の言うとおりだ。
ましてや私は行く場所がないから404に入れられただけで、いつどのタイミングでここから去ることになるかは分からない。
伊吹さんだって志摩さんに機捜に適していないと思われれば奥多摩に返される。
私たちの、この相棒という関係がずっと続くことなんてありえない。
「俺が4機捜に来たのがスイッチだとして…」
「スイッチ?」
「ほーら、俺とAが4機捜に呼ばれたのって、急遽誰かが4機捜に入ったから志摩と組むやつが足りなくなってこう、呼ばれたんでしょ?
結果的に玉突きされて入った俺が、404で組むことになって3人で犯人追っかけてその1個、1個、1個、全部がスイッチで!
…なんだか、人生じゃん!?
1個1個、大事にしてぇの。諦めたくねぇの。3人で全力で走るのに、必要なんすよ。」
伊吹さんから発せられた力強くて真っ直ぐな言葉たちに、認めたくないけど心を動かされる自分がいた。
誰に向けられた言葉でもない。自分の素直な気持ちを言っただけだろう。
なのに…彼の中に私もちゃんと入っていることが嬉しくて
不覚にも、少しだけ、
ほんの少しだけ、泣きそうになってしまった。
「…まずシャワーを浴びて、酒を抜いて来なさい。」
「うおっ!隊長!大好き!」
「今すぐ!早く!」
「「はい!!」」
2人は元気よく返事をすると、急いでここを後に…
「Aちゃん」
「はい」
「絶対に帰らないで待ってて!!」
「…はい」
私の返事に満足げに笑うと、今度こそこの場を後にした。
「Aも上だけでも着替えてくれば?こことか、裾もしわになってる」
隊長に指摘され着ていたシャツを見下げると、寝ていたせいだろう、しわが大量についていた。おお、私も大分だらしなかった。
2人がシャワーを浴びている間に済ませられることだからお言葉に甘えて、私は分駐所へ着替えを取りに戻った。
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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月14日 21時