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「もう動かないんでフード放してください」
「志摩に言われてんの。放すなって」
「物理的じゃなくてもできるでしょう?」
2機捜のヘルプで宣言通り学校に立ち寄ったのだが…
志摩さんに“2人はここで待ってろ”と言われたためメロンパン号の車内で大人しく待っていた。
なぜ大人しく待っているかというと、伊吹さんにリードを持たれているから身動きが取れず、私は助手席に縫われているからだ。
もう抵抗するのも面倒になって放棄することにした。
「…ねえAちゃん」
「はい」
「あの日、店の前でさ、
志摩と何話してたの?」
「何もですよ。ただ隣でずっと静かに、伊吹さんが出てくるのを待ってました」
「1時間もだんまり!?嘘だ、あやしー!!」
人のゴシップが大好きなんだろうな、にやにやした顔で見つめられる。
突っかかったら疲れるのはわかっていたから、背もたれに体を預け目を閉じて伊吹さんのウザがらみを右から左へ流した。
「…Aちゃんって志摩のこと好きだよね」
ゆっくりと目を開けて運転席の方を見ると、伊吹さんが優しく微笑んでいた。
「伊吹さんには負けますよ」
「へぇー、動揺しないんだ」
リヤドアが開かれる音がして振り向くと「大人しく待ってたな」と言って志摩さんが一人で荷台に乗ってきた。どうやら水森は連れて来られなかったようだ。
「…待てって言われたから志摩ちゃんのお手並を信じて見たんだけど任意同行できなかったのかよ」
「できなかったがあれはクロだな……」
「自首しますかね?」
「しなかったら証拠見つけて逮捕するまで」
「だな。」
もう一度運転席を見ると、伊吹さんが私に余裕そうな笑みを浮かべていた。
…ちょっとムカついたから頭にチョップをお見舞いしてやった。
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分駐所に戻ってから私たちは仮眠も取らずにスパイダーの所に行き、糸巻さんに水森を逮捕する証拠を探してほしいと無茶を頼んでいた。
さすがに何もない所から証拠なんて見つかるはずもなく4人でうなだれていると、水森のアカウントであろうファン・クアンから、Facenoteに新規の書き込みがあった。
ハッシュタグには“GOTO KONBINI”“HON NERIMA”“TODAY 3:00”
「今日の3時…あと1時間ですよ!!」
芝浦署からだと片道40分はかかる。
私たちはスパイダーの基地を慌てて飛び出すとメロンパン号に乗り、超特急で本練馬に向かった。
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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月14日 21時