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会議室を出てから、私たちの行動は速かった。
青池に関わった場所を探ろうと、まず最初に青池にハローワークを紹介した法律事務所へ訪れ話を聞いた。

『もう二度と暴力団とは関わりたくないって言ってました。簿記の資格があっても前科があると仕事が見つからないってボヤいてはいましたけど…一般企業への就職が決まったって喜んでましたよ』



そこで青池の就職先を教えてもらい、PCショップACEという店に来た。



「すみません。こちらに青池透子さんはいらっしゃいますか?警察ですが。聞きたいことが……」


志摩さんが警察手帳を見せて話を聞こうとすると、2人の店員が
「あ〜〜!!警察待ってたあ!!」
「良かったぁ……」
と、手を合わせながら悲鳴を上げた。


「待ってた?」
「なんかめちゃくちゃモテモテなんだけど。」



興奮気味の店員から話を聞くと、
今朝、店を開けて10分くらいした頃に強面の男が2人入店し青池を探しに来たらしいのだが、隠れた青池の姿を見つけることができず出て行ったらしい。
その様子を見て青池は慌てて机の引き出しから大金をトランクに詰めて出て行ったとのこと。


「スーツケースの中身って見ましたか?お金以外に…例えばパスポートとか、」

「あ、入ってた気がします」

…となると、逃亡するなら海外だろうか。
でもあの傷を負ったまま逃亡なんて難しいだろう。薬局で止血が済んだら病院なんていらないのだから。


「青池さんが暴力団と関わりがあったっていう話は知ってますか?」

「ないない!ないです!地味な人で」
「お弁当も手作りで、休み時間に手芸してたり……
 あ、それ……」


店員が指差した方向を見ると、手のひらサイズでピンク色のウサギのぬいぐるみが台の上に置いてあった。


「このうさちゃん?」

「はい、青池さん作ったんです。」

「ふーん、で、なんで警察に電話しなかったの?」

「だって社長が…」
「社長が来たんで、あったことを話したんです。
 そしたら通報するなって言って、また出ていっちゃって…」


“通報するな”とはおかしな話だ。
普通、違和感でも非日常なことでもあれば警察に通報するべきなのだが…
ここの社長は何か隠しているのだろうか、クロな気がする。


「A戻るぞ」
「はい。」

志摩さんの声にハッとする。危ない、自分の世界に入り込む所だった。
店員2人に会釈して、急いで2人の後を追い車に乗って分駐所へ戻った。




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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月14日 21時

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