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「マイちゃんが好きなのが水森ならやっぱり犯人は水森かもしれない。彼女なら口を割らないと考えた。」
「マイちゃんの気持ちを利用して強盗したんだったら相当なクズだな。」


もしそれが本当なら…マイさんの気持ちはどうなってしまうんだろうか。
日本に裏切られて好きな人にも裏切られたなら…
捜査の一つ一つに感情移入してたらやってられないのはわかってるけど、
苦しい、そう思わざるを得なかった。


「水森は近隣でコンビニ強盗が起きたのを知って模倣を思いついた。
 同時多発的に強盗が入れば目立たない。だからSNSに強盗を誘引する書き込みをした」
「超ウルトラハイパー意地悪な推理」
「わーさすが志摩さん」

「お前と違って俺は刑事に向いてるんだ。
 …てかAもわかってただろ」


私は肯定も反論もせず、志摩さんに微笑みを返しておいた。
…わーすっごい嫌そうな顔。


「ふんっ!警察の犬め。」
「ポリまるくんに失礼。このカタツムリ」
「俺カタツムリじゃねぇよ。俺足速いもん!」
「知ってるよ」


「まぁ、でもさ、志摩の言う通りだったら、水森殴っていい?」
「伊吹さん殴る前に逮捕ですよ」
「だってマイちゃんコンビニクビになって学費払えないかもしれないんだぞ。
 そしたら退学。退学したら強制送還!帰っても月収3万じゃ100万の借金は返せない!
 向こうの家と畑は抵当に入れてるから、一家離散。バラバラー」


彼女のお先真っ暗だ。
それに水森を捕まえたからと言ってコンビニのバイトに戻れるとは限らない。


「志摩ちゃーん。何とかしてー?」


出た、他人任せ。伊吹さんと私十八番の業だ。


「…投げやりか。」
「じゃあ水森殴っていい?」
「ダメ。俺を脅すな」
「だってぇ!!じゃあどうすんだよ。もう!」
「もう継続捜査は終わったの」
「冷たい」

「そういえば…次の当番勤務は2機捜のヘルプですね」
「そうだな」


すると突然先頭で階段を下っていた伊吹さんが立ち止まり、志摩さんと私の動きも止まる。
そしてゆっくり振り返ると、何か強請るように上目遣いしてきた。


「…本練馬署管内、日本語学校からも近い。まあ、ちょっと立ち寄るくらいなら問題ない」


すると伊吹さんの表情が一気に明るくなり志摩さんに「うぇええい!」とじゃれ始めた。
あ、やっぱり2人はそういう関係ですか…
私は2人の横を音を立てないように通り「Aは逃げるな!!」抜けられなかった。






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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月14日 21時

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