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「青池透子は2年前逮捕されたけど、被害者でもあった。
 池袋でクラブのホステスをしていた青池は店の客の誘いで裏カジノへ足を踏み入れた」



裏カジノはイカサマするのが当たり前で、最初に勝たせて運がいいと思わせてから1晩で10万、20万…
徐々に金銭感覚が狂っていき50万取られても60万取り返せば良いと思うようになる。
薬 物と同じ要領で抜け出せなくなるのだ。


「ハマった頃にはもう遅い。返せない額の借金を背負わされて女は風俗に沈められる。青池は少しでも早く返済するためにカジノでも働いていた。そこに警察が突入した。
 情状酌量もあって執行猶予1年の判決。去年執行猶予が明けてる。この時逮捕された経営者は単なる身代わりで実際のオーナーは逮捕できなかった。
 オーナーは通称エトリ。本名不明で写真もない。自称実業家の40代」


ホワイトボードにエトリの似顔絵が貼られる。
この似顔絵は当時裏カジノの場所をタレこんだ女性、羽野さんの証言をもとにして作られたものだ。


「今回の発砲事件にエトリが関係してる?」
「関係無いかもしれない。だけど、撃ったのがどこの組かもわかってない内から住之江組の内部抗争だと判断するのは先走りすぎ」

「賛成。俺は青池透子と話がしたい。」
「話?」

「これ見てよ。この目」


そう言って伊吹さんは薬局で手に入れた防犯カメラの映像を見せてきた。
カメラに向かって睨む青池透子はやっぱり、痛みに悶えている表情ではない。



「ビンビン来ない?
 喧嘩売られてる気がする」
「気のせいだ。
 防犯カメラの映像と張り合うな」

「いやさぁ、

 何か言いたい事山程ありそうな顔してんじゃん」


すると伊吹さんは「もし見つけたら、俺が事情聴取していい?」と隊長に提案を持ちかけた。

「それはまた随分と勝手な…」
「Aが言える立場か」


機捜はあくまで初動捜査をするのが仕事だ。上から頼まれてない状態で私たちが動けば問題になるだろう。責任は私たちではなく隊長である桔梗さんがとるものだ。
さすがに制止がかかるだろう。
そう思ったのに隊長からはまさかの「見つけたらね。」という許可が下りた。


「よっしゃ!!!
 機捜404、誰よりも早く青池透子を見つけます!」

「隊長?」
「いいんですか?」
「2人とも、特に志摩、よろしく」


志摩さんと私は伊吹さんに腕を掴まれて引きずられるようにして会議室を後にした。



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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月14日 21時

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