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消え入りそうなAの小さな返事を聞いて今度こそ話を戻そうと九重に向き直った。
が、Aのせいで何の話をしていたかわからなくなり「……で、なんだったっけ?」と聞くと正面の志摩が小さな声で「ツブッターの"わたしが助ける"っていう奴です」と教えてくれた。


「ああ、それは話の前後を読めばわかるわ。
 助けるといって助けてくれなかった警察への揶揄、恨みつらみよ」

「そうだぞ九ちゃん、もうちょっと心の機微を学ぼうか。」

桔梗と陣馬の答えに納得していないのか九重は「本当に意味が分からないんですけど」と返した。

「だってこれのどこが恨みなんですか!?
“自由になれる、わたしが助ける、最後に一つだけ”って…「ああ!!!」


珍しく志摩が声を荒げ、その場にいた4人がびくっと肩を揺らした。
と思うと興奮気味に「逆だ!読む順番!!」と伝えられ、全員が口を揃えてツブッターを読んだ。


「“もう死ぬみたい”
 “つまらない人生”
 “誰が決めたの”
 “弱くてちっぽけな小さな女の子”
 “逃げられない何もできない”
 “そんなの嘘だ”
 “自由になれる”
 “わたしが助ける”
 “最後に……」

「「“一つだけ”」」


志摩の一言が九重と4人の話の食い違いに終止符を打ったようで、ツブッターを読み終わると全てを理解したようなスッキリした表情に変わっていた。
そこからさらに口角を上げて、良い年した男3人が若者代表の九重に突っかかっり「九重!!」「きゅうちゃーん!!!」とじゃれ始めた。

それを他所に桔梗は冷静に、青池が何を助けたのか考えていた。

「…Aの募金ってなに?
 事件とどう関わりがあるの?」

『あー、ふんわりした臆測なんですけど』


話ずらそうなAに、桔梗はさっき強く言い過ぎたかなと少しだけ反省して「臆測でいいよ、話して」と怒りはゼロで言ってあげた。


『気づいたのはついさっきなんですけど…
 今目の前にある看板に"逃げられない何もできない少女たちに"っていうキャッチコピーが書いてあって、青池のツブッターに似てるなって思ったんです。』


Aの言葉に伊吹は資料を手探りで探すと、手を止めて「これだ」と呟いた。
銀座駅裏路地看板の、青池の血痕があった場所。
人目を惹きつけるような少女の写真の右下にはガールズインターナショナルと書かれていた。


「404出ます、A拾って集荷場に。」


「「いってらっしゃい」」



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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月14日 21時

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