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青池のマップデータから割り出した宝石店へ志摩と伊吹は2人で向かった。
そこで店員に話を聞くと「青池さんね、来てますよ、何度も。」と言って明細書を見せてきた。


「遺産が手に入るって話で。
 同じような石を2つオーダー
 本日ご購入いただきました。」


明細書を見ると、青池の買った宝石は2つ、そして値段は0が大量の数字が書かれている。
総額1億だ。スーツケースのお金はそうやって換えたらしい。


「この金は、不正な資金なんです。」

「私は何も知らずに、現金でお売りしたの。
 売買契約上問題ないと思うわ。」


悪びれる様子が全くない店員に少々苛立ちを覚えたが、彼女の言う通り法律上は問題がないため志摩は口を噤んだ。


「でも、そういうことだったのね。
 そういうお金をこの美しい宝石にロンダリングしたのね。
 ……うさちゃんの目として」
「目?」
「落ちないように、ぐいぐい入れてた。」

伊吹は、はっと気が付いて、ポケットをガサゴソ漁ると、掌サイズのうさぎのぬいぐるみを取り出した。PCショップで伊吹が貰ったという。


「これ!?」

「そう!それのもっと大きいの。」





「「ビンゴ」」















先ほど店員から聞いた情報などを桔梗や401の2人に報告するため、志摩と伊吹は急いで戻ってきた。
そして再度、薬局で手に入れた防犯カメラの映像からトランクの中を確認すると、乱雑に置かれた1億円の中に一つだけ、ポツンとピンク色のウサギのぬいぐるみがあった。
店員が言ったように、伊吹の持っていたものより大きめのサイズ感。


「あっ!ほらほら見て見て!」


伊吹がうさぎの目からボタンのようなものを外して見せてきた。
これを練習台で作り、国外へ持ち出す算段だったのだろう。


「よし!ミッシング、1億円のうさちゃんを捜せ!!」

「逃げてる最中に自分の命が助からないとわかって奪われるぐらいなら捨ててやる…
 神田川に捨てた!?」

「え、1億円を川に捨てる?」


確かに一億円を川に捨てるのはもったいないが、もし自分がもうすぐ死ぬと分かっていれば…
志摩は陣馬の考えに「警察にも暴力団にも渡したくないなら捨てるかも」と納得した。



「んー…ピンとこない。
 なんかこう、さ、迸る青池ちゃんのバトルオーラが……」
「そういうふんわりした話はやめろ」





「青池透子は、誰を助けたんでしょうか」



少しの沈黙を破ったのは九重のその一言だった。



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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月14日 21時

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