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『警視庁から各局。銀座署管内拳銃使用による殺人未遂事件入電中。マルモクからの通報。容疑者の男、被害者の女性ともに中芝方向に立ち去ったとのこと。現場は銀座西4-5-2。』
ヤクザの抗争だろうか。志摩さんはマイクを握って返事を返そうとしたが『1機捜本部から機捜404』と遮られた。1機捜様からのご指名なんて珍しい。
「機捜404どうぞ」
『本件発砲事件の被害者と思慮される関連情報あり。現在位置近くの薬局に向かわれたい。住所、銀座西1-3-1』
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本部から指定された薬局へ着き、中に入ると血が滲んだ灰色のコートと床に数滴の血痕があった。
血だまりとまではいかないが、傷は浅くないだろう。現場からここまで数百mの距離を走ってきたのなら猶更。
店員に話を聞くと、被害者は銃で撃たれ脇腹を弾が掠り、その傷を応急処置しに来たらしい。
そして、ラックにかけてあった上着を買い取ると急いでここを出ていった。
「あんな大金初めて見ました……」
「大金?」
「志摩ー、」
伊吹さんの指さした方向を見上げると防犯カメラをがあった。
「すみません、防犯カメラの映像見せて頂いてよろしいですか?」
映像には手についた血をティッシュで必死に落とす女性の姿があった。その後ろには椅子の上に開かれたトランクが置いてあり、ザッと数えて1億円ほどの大金が詰まれている。
「1億の女…こいつ何者だ?」
カメラ越しに女と目が合う。
こちらを睨みつけているような…
彼女の思考は見当つかない。でも知りたい。心の中で何かが渦巻いた気がした。
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「青池透子、前科一犯」
「2年前の裏カジノ事件で逮捕されてました」
「あの時の?」
「面識あるんですか?」
「逮捕者が20人以上いたから直接は話してないけど」
薬局を後にした私たちは署に戻って桔梗隊長に報告していた。
鑑定の結果、1億の女の正体は裏カジノ事件で逮捕された内の一人だった。
池袋にあった10億規模の違法賭博場が摘発されて、客に上場企業の役員や官僚までいたから、二年前の当時はニュースや新聞などで大きく取り上げられた大事件だ。
…個人的にも、隊長とマメジと話すきっかけになった事件で思い出がある。
「…わかった。
初動捜査は終了、あとは組体と所轄がやるって。
1機捜は引き続き周辺を警戒。」
「了解です。」
1機捜副隊長の谷山さんに続いて隊長室を去ろうとした所「待って」と桔梗隊長に呼び止められ4人で会議室に向かった。
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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月14日 21時